日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: P16
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ポスター発表
住居学習における「空間の生命化」の教材化
小・中・高における授業実践
*古重 奈央鎌野 育代真田 知恵子伊藤 葉子中山 節子
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抄録
【目的】 「空間生命化」とは、生命から学んだダイナミクスを応用し、建築空間に取り入れていくことで、未来の建築空間を考えていこうとする概念である。この概念が家庭科における住居学習の新たな可能性を模索する1つの視点になるのではないかと考えた。 授業内容・方法の検討に先立ち、児童・生徒の住まいへの認識を把握するための質問紙調査を実施し、その結果と児童・生徒の実態を踏まえて、各教員が授業を構想することにした。また、すべての実践終了後に、協議の場をもち、空間生命化の視点を取り入れた住居学習の可能性について意見交換をすることにした。 本研究は、各学校段階における児童・生徒の住まいへの認識を把握するとともに、それをもとに行った授業実践における児童・生徒の姿から、空間生命化の視点を取り入れた住居学習の可能性を検討することを目的とする。 【方法】 <質問紙調査> 実施時期 2010年1月 対象 小学6年生60名 中学2年生42名 高校2年生121名 <授業実践> 実施時期 2010年1~3月 題材 ○小学6年生「快適な住まい」(7時間扱い) 『住まいのこれから』(7/7時)    ○中学2年生「家族と住まい」(5時間扱い)     『住まいの生命化を具体的に構想しよう』(4/5時)        ○高校2年生「高齢者と生きる」(7時間扱い)     『建築空間の生命化~高齢社会に求められる住空間の 機能~』(2/7時) 【結果】  質問紙調査では、児童・生徒の住まいへの認識を把握するための質問項目を設定した。質問項目は「あなたにとって自分の家の中でたいせつな場所はどこですか」で、その理由についても併せて調査した。その結果、各学校段階による住まいへの認識の違いが見えてきた。小6では理由として、「家族が集まるから」「人がいるから」を筆頭に挙げる児童が大部分を占めたのに対し、中2では、「好きなことができるから」「1人になれるから」といった理由が増加してくる傾向等が確認できた。 授業実践では、他校種の実践の様子を踏まえながら、各授業者が授業内容と方法を検討した。小学校では、これからの住まいを考えるというテーマで、生きている住まいを自由に発想させ、各自の欲求を顕在化させた。中学校では、各自の好きな居場所にある要素をKJ法により整理させ、見い出されたキーワードをもとに、生活者の幸せという視点を踏まえた「住まいの生命化」をグループで具体化させた。高校では、高齢者の内容の中に位置づけ、空間生命化の概念が高齢社会にどうリンクするかを考えさせ、高齢者に必要な住居の機能を考えさた。 授業における児童・生徒の姿、また、実施に際しての授業者の感想や意見を共有したところ、「空間生命化」の視点を取り入れた住居学習の可能性が以下のように整理された。_丸1_物理的な住居としての認識だけでなく、家族とのかかわり、高齢者とのかかわり等、人間関係も含めて住居を捉えなおす契機として作用し得る、_丸2_住居の機能や利便性を顕在化させ再認識させることができる、_丸3_住居への自分の欲求を意識化させることができる、_丸4_居住空間として固定化した住居内部だけでなく、環境との調和等も含め、広い視野で住居を認識することができる。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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