日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: P17
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ポスター発表
中学校技術・家庭における環境に着目した住生活領域教材の提案
*畑 和孝榊原 典子
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キーワード: 中学校, 住生活領域, 環境, 教材
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抄録
地球温暖化が進み、人々の環境問題への関心が高まってきている。地球温暖化防止京都会議(1997)で議決された京都議定書では、日本は温室効果ガス排出を2008年から2012年までの間に94%に抑えること(1990年基準)を目標に設定されている。しかし、実際のところは二酸化炭素排出量が減少するどころか増加している。その一因として、生活が便利になるにしたがって家電製品や車などエネルギーを消費するものが数多く出回り、それを人々が使用していることが挙げられる。大量のエネルギー使用が環境にどのような影響を与えているのかを知り、エネルギーを消費するものの使い方を考えて生活していくことは家庭科教育の中でも重要なことと言える。しかし、家庭生活の中でのエネルギー使用については、従来、家庭科の中ではほとんど取り扱われていない。一方、エネルギー使用を題材として取り上げやすい住生活領域は今回の学習指導要領の改訂でも内容の変化があまり見られない。先行研究によると住生活領域の教えにくさや教材の少なさが指摘されており、新たな教材の提案は意義のあるものである。したがって本研究では中学生が省エネルギーの必要性に気づき、これからの住まい方を考えることのできる、環境と住生活を複合させた教材を開発し、提案する。
【消費電力量から自分の生活を考えよう!!】
 家庭での生活上、最も多く使用するエネルギーは電気エネルギーである。「省エネ」という言葉をよく耳にするが、どれぐらい消費電力量を抑えなければならないかという具体的なものが生活の中で見えにくい。どのくらい電気の使用量を減らせばよいかを目に見える形で表すことができれば、中学生も家で実践しやすいであろう。消費電力量を知るために消費電力測定器を貸し出して中学生自身に実生活の中で測定させることが確実な方法だが、すべての学校でそれをできるわけではない。そこで中学生自身が家庭で1日にどれくらい電化製品を使用しているかを振り返らせるために、電化製品の選択とその使用時間から1日の消費電力量を可視化させる教材を作成した(冬季を対象)。教材の使用例として、まず中学生に1日に使用している電化製品とその使用時間を振り返らせる。消費電力量の算出に当たっては表計算ソフトの学習と兼ねることも可能である。消費電力量を算出した後は、全国平均値(総合エネルギー統計より算出)と比較して省エネルギーにつながる生活を考えさせる。
【健康くんと省エネさん】
 住生活の内容である健康・住まい方・環境を複合的に取り入れた教材である。環境の4要素である「光・空気・温熱・音」を軸に健康と省エネについて自分が実践できているかを確認させるすごろく教材である。
 この教材は、すごろくのマス目が4つのエリアに区切られている。それぞれのエリアに1~2個必ず止まらなければならないマス目(例:「夜更かししていないか?」、「朝、換気をするか」など健康で快適な生活を送る上で必ずできていてほしいこと、ぜひとも知っておいてほしいもの)を設置している。その他にも、中学生の住生活に関わりのありそうな健康または省エネに関するチェック項目を用意した。その項目に止まると普段の自分の生活を振り返る。項目の設定基準は中学生が実践しやすいものを組み込んだ。その際、健康または省エネに関して良い行いをしていれば健康君または省エネさん+ポイントが与えられ、良くない行いであれば健康君または省エネさん-ポイントが与えられる。このポイントの増減を繰り返しながらゴールを目指す。ゴールでは、ポイントをふまえて自分の住生活の目標を宣言する。すごろくボードの真ん中にはポイント置場を設置しており、自分のポイントや他者のポイントを確認することでそれぞれの住生活を話し合いながら進めることができるようになっている。  今回提案したそれぞれの教材については、中学校住生活領域の題材構成での位置づけを明確にするとともに、実践を通して教材の有用性を検証することが必要である。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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