日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: 1-2
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口頭発表
小学校第1・2学年における家庭科学習「なぜ、食べるのか?」の実践と評価
-小学校低学年からの教科としての家庭科学習の実証的検討-
*信清 亜希子西谷 圭二佐藤 園
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抄録
[目 的] 
本来、教科とは、子どもが学校教育でしか学べない学習であり、「科学・学問を基盤とした法則・理論の系統的学習」を原理として、「科学的認識の形成」をねらいとすることに独自性が求められる。平成20年に改訂された小学校新学習指導要領においても、家庭科は、「教科」として位置づけられた。したがって、家庭科では、「家政学を基盤とした法則・理論の系統的学習」を原理として、「家庭生活に関する科学的認識の形成」を全ての子どもに育成していかなければならない。しかし、小学校家庭科は第5・6学年にしか課されていない。これは、小学校が普通教育を目的としていることから考えるならば、小学校第1~4学年の子どもには、家庭科でしか身に付けられない能力の育成が保証されていないことを意味することになる
 本継続研究は、以上の問題意識に基づき、昭和31年度版小学校学習指導要領で説明された「家庭科を第5学年からしか学べない理由」を事実に基づいて検討し、小学校低学年からの家庭科学習実践の可能性を理論的・具体的に実証することを目的としている。平成20年度例会では、米国N.J.州初等家庭科プログラムにみられるカリキュラム構成原理を分析し、小学校低学年からの家庭科学習の論理的可能性を明らかにした。平成21年度大会では、米国初等家庭科プログラムを参考に、わが国の小学校低・中学年で試行する「食育」をテーマとした3次構成の投げ入れ授業としての家庭科学習指導計画「なぜ、食べるのか?」を、科学的認識の獲得を目的とする「教授書試案」の形式で開発し、平成21年度例会では第1次「なぜ、食べるのか?」、平成22年度大会では第2次「何を食べているのか?」、を小学校第2・4学年で実践した結果を報告してきた。本報では、これまで開発してきた家庭科学習計画「なぜ、食べるのか?」を小学校第1・2学年でこの9月に実践した結果を分析し、小学校第1学年からの家庭科学習実践の可能性を検討したい。[方 法]
教科教育学研究の「事実づくり研究」の方法に基づく教授書開発研究
[結 果]
1.授業の対象者・実践者・実践年月日・実施授業時間;○岡山県A小学校第1学年(男子8名、女子2名、計10名)・信清亜希子・平成22年9月24日5校時・生活「大きくなったね。かわったね。」○岡山県B小学校第2学年(男子16名、女子13名、計29名)・西谷圭二・平成22年9月28日5校時・学級活動
2.授業の実施内容;時間の関係で、指導計画(1.なぜ、食べるのか?・2.何を食べているのか?・3.何を食べるのか?どのように食べるのか?)の「1.なぜ、食べるのか?」を実践した。
3.授業の分析方法;第2学年は、授業のVTRと児童のワークシートの記述、第1学年は、児童の発達段階からワークシートに自分の考えを記入することが難しいと実践者が判断したため、授業中の板書と教師が授業中に書き留めた児童の発言記録に基づき、「家庭科が第5学年からしか学べない理由」から、1)この学習で子どもはどのような知識を獲得したのか・2)その中で、他教科の基礎的な理解と技能は応用されたのか・3)1)2)には、どのような発達段階の違いがみられたのか、の視点を設定し、分析を行った。
4.小学校第1・2学年における家庭科授業実践の結果と評価;両学年ともに国語(話す・聞く・書く)、第1学年では、算数(長さの直接比較)・生活(植物の成長)・学級活動(給食-健康によい食事のとり方)、第2学年では、算数(三位数の整数を含む減法)・生活(植物の成長)を応用して子どもは思考をし、本時のMQ「なぜ、私たちの体はこれだけ大きくなったのか」「なぜ、私たちは食べるのか」に対する答え(知識)を導出していた。第1学年では、本時の到達目標「空腹を満たすために食べる」「成長のために食べる」を、1年生なりに「お腹がすくとごはんを食べる」、「食べると体が大きくなる」と捉えることができていた。さらに、よりよい成長に必要な「健康な生活」「運動」などの「食べる」以外の概念についても生活の中で経験的に把握していた。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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