日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: 1-1
会議情報

口頭発表
小・中・高等学校における調理実習の実態と課題
―調理題材を中心に―
*齋藤 美重子忽那 啓子高崎 禎子河野 公子
著者情報
キーワード: -, -, -
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
1.目的
 食生活に関する知識・技能の定着度を高め,生涯にわたる望ましい食生活を実践できる能力をいかに習得させるかが,家庭科における重要な課題の一つである。平成21年に家庭科担当教員を対象に調理実習の実態および学習目標に対する意識調査を行い,一部の結果を報告した1)。今回は,取り扱っている調理題材の実態,調理実習時の衛生・安全に関する配慮事項,小・中・高等学校における連携の現状等について把握することにより,調理実習のあり方の提示の基礎データを得ることを目的とした。
2.方法
   小・中・高等学校の教員を対象とし,平成21年6月から9月にかけて行った質問紙調査の際に依頼した第1~8回までの調理題材の記載内容を献立構成により分類・解析した。また,調理実習時の衛生・安全に関する配慮事項と小・中・高等学校における連携の現状については,自由記述の内容を分類・解析した。
3.結果及び考察
小学校の調理題材は教科書通りで「ごはんとみそ汁」「野菜サラダ」「野菜炒め」「卵料理」などが扱われており,学習指導要領で記載されているように,最終的に「1食分の食事を作ろう」へと,段階的に指導されている実態が明らかとなった。
 中学校の調理題材の献立構成は,「主菜のみ」が252件(平均1.7回),「主菜+汁」が125件(平均0.8回)で,次いで「デザートのみ」が66件(平均0.4回),「主菜+副菜」は62件(平均0.4回),「麺・パスタ」は61件(平均0.4回)であった。
 高等学校の調理題材の献立構成は,「家庭基礎」・「家庭総合」ともに「(主食+)汁+主菜」が最も多く,「家庭基礎」では115件(平均1.1回),「家庭総合」では91件(平均1.2回),次いで,「デザートのみ」が多く,「家庭基礎」86件(平均0.8回),「家庭総合」40件(平均0.5回)であった。また,「汁+主菜」等に加えて行うデザートが多く,「家庭基礎」87件,「家庭総合」109件であり,高等学校の特徴としては,デザートが多く扱われていること,丼やパスタなどを組み合わせた献立が多いことが挙げられる。学習指導要領では,「家庭基礎」「家庭総合」ともに,「様式,調理法,食品が重ならないように設定する」とされているのみであり,教科書の利用も25%未満が6割であることから,調理題材が多岐にわたり,献立構成とも関連しているものと推定される。
 調理実習における安全・衛生面での配慮については,学校種による指導の観点に違いがみられた。「包丁」は,小学校では「扱い方指導」,中学校では「保管場所による配慮」,高等学校では「滅菌庫・殺菌庫での保管」が多く挙げられていた。「まな板」「ふきん」は,いずれの学校種も「洗浄・乾燥」に重きがおかれていた。「服装」は,小学校では「エプロン・三角巾・マスクの着用」を半数近くが促しているが,高等学校では「エプロン・三角巾」が6割を超えていた。
 小・中・高等学校の連携を考慮している教員は全体として少数であり,他学校種の学習内容や調理題材の把握が主であった。 今回の調査結果をもとに,今後は,効果的な調理実習の参考例の提示が望まれる。
1)日本家庭科教育学会第53回大会 研究発表,2010.7,p.165
著者関連情報
© 2010 日本家庭科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top