日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: B4-3
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第55回大会:口頭発表
「幼児と触れ合う活動」に幼児来校型を取り入れた中学校家庭科の授業づくり
-行政や地域と連携して-
*○萬谷 恵三子鈴木 敏子
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抄録
【研究の目的】
  2008年改訂中学校学習指導要領において、教科「技術・家庭」〔家庭分野〕(中学校家庭科あるいは家庭科という)の「A家族・家庭と子どもの成長」の内容の指導事項「幼児と触れ合う活動」が必修になった。これまで、中学生の幼児との触れ合い活動は、選択事項としてあった家庭科だけではなく、総合的な学習の時間を活用して職業体験としても行われており、それらの場合、中学生が幼稚園や保育所等へ行くこと(つまり中学生訪問型)が多かった。ところで、中学校家庭科の3年間の授業時数が87.5時間しかなく、週に2時間続きの授業が設定されにくい状況では、この訪問型の触れ合い活動を行うことは非常に厳しい。そこで、幼児が中学校に来校して(幼児来校型と称す)中学生と触れ合う活動を行う1時間の家庭科の授業を構想・実践した。本研究では、中学校家庭科のカリキュラムを作成し、「A家族・家庭と子どもの成長」の内容の授業計画を構想して、幼児来校型の「幼児と触れ合う活動」の授業実践を行い、触れ合い活動の意義を見出すことを目的にする。併せて、授業実践に際して行政や地域と連携する意義を明らかにする。
【研究方法】
1  幼児来校型の「幼児と触れ合う活動」を位置づけた「A家族・家庭と子どもの成長」の授業計画を作成する。
2   「幼児来校型」を導入して中学生と幼児とが触れ合う活動を実施するために、幼稚園、小学校、地域コーディネーター等、行政や地域との連携を行う。
3  2009、2010、2011年度に、横浜市立H中学校3年生の家庭科の授業で幼児来校型の「幼児と触れ合う活動」の実践を行い、事前・事後アンケート、実習記録用紙を記入させた。今回は、2010年度の実践について分析、報告する。
【結果】
(1) 「A家族・家庭と子どもの成長」は、21.5時間で計画した。6時間で個人が製作した絵本と3時間かけて班で製作した遊び道具を準備した。絵本は、幼児と座って相対してコミュニケーションをとる活動、班で製作した遊び道具は、幼児の集団の様子を観察する活動に使用した。リハーサルを行う計画を立てた。
(2)  幼児来校型の触れ合う活動は、1クラス(28名)単位で授業を格技場で行った。1クラスに幼児104名、幼稚園教諭5名、支援者8~13名で行った。1日2クラス、2日間にかけて授業を行い、1日目は年長児が、2日目は年中児が来校した。
(3) 事前・事後アンケート結果では、自分が人から認められている項目で事前1.8から事後2.86となり、自己肯定感が芽生えた。また、地域と中学生が関わることの項目で事前1.1から事後3.28と上昇し、地域との関わりの重要性をより感じるようになった。記述式では、「幼児の触れ合い活動」で得ることは、幼児の接し方、人に優しく、相手の気持ちを理解することの大切さを知ると答えた。また活動前に考えた課題では、ルールや順番を守ること、楽しむ、コミュニケーション力をつける、幼児目線にたつ等があげられ、結果として、ルールについて教えられた、コミュニケーション力がついた、幼児目線にたてた等と、課題を解決していた。
(4)  触れ合い活動を幼児来校型にすることによって1時間の授業で実施が可能となり、生徒の自由な発想で大きな遊び道具を製作やリハーサルを行うことができ、生徒が自信を持って活動に臨めた。また、園児は幼稚園のバスで送迎され、安全面が確保できた。
(5)  小中連携、保幼小連携を活用して幼稚園と連携をとった。幼稚園には職業体験ではなく、家庭科で触れ合いをする意義を伝えることが重要である。幼児来校型にすることで、学校と地域の連携を支援する組織である地域コーディネーターを活用し、学校支援ボランティアの支援を募り協力を仰ぐことができた。
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© 2012 日本家庭科教育学会
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