日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第56回大会・2013例会
セッションID: P11
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56回大会:ポスター発表
小学校家庭科におけるシティズンシップ教育
地域のための除雪活動を通して
*岡田 みゆき土岐 圭佑
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抄録
【研究目的】
家庭科をシティズンシップ教育にする実践では,子どもが自分の生活と社会との接点を見つけるが必須だと言われているが,それを北海道の子どもが見つけるきっかけとして,「雪」が挙げられる。旭川市は,年間679cmの降雪量があり,除雪費は21億円にものぼる。除雪費の削減は旭川市にとって重要な課題である。市は種々の広報活動を通して,除雪基準への理解,雪出防止,路上駐車防止等の啓発を行ってきたが,今だ,市民に浸透しているとは言い難い。官民協働の除雪意識を高め,除雪費削減を推進するためには,幼い頃から雪問題について関心を持たせ,安全で快適な街づくりへの意識を高めること,望ましい市民性を高めることが必要である。  
そこで,2年前に,旭川市が抱えている雪に関する問題を解決するために,児童が地域社会の一員として,自分にできることを考える授業を開発し,実践した。雪問題に対する認識は深まり,市民である私たちも協力をし,助け合うことが大切であることを理解するというある程度の結果は認められた。しかしながら,この学習を日常生活に生かすというまでには至らなかった。
今回は,家族の一員として,旭川市民の一人として,地域住民と共に快適な冬の生活を営むために,除雪問題に対し,自分にできることを考え,実践するという市民性を育成することを目的とする。また,家庭や地域だけではなく,学校生活の中でも快適な冬の生活が送れるように,雪と共に安全かつ楽しく暮らすための方法を考え,行動する力を育成することも目的に授業を修正し,実施した。  
【研究方法】
プログラムは,授業2時間,活動2時間の全4時間で構成し,旭川市立K小学校6年生52名を対象に,平成25年1月から2月にかけて授業を実施した。 授業内容として,1時間目では,授業を開発した大学教員が授業を進め,途中,旭川市土木事業所職員をゲストティーチャーとして迎え,旭川市の除雪に関する課題を説明してもらった。さらに,土木事業所が作成した除雪啓発DVDの視聴を通して,旭川の雪問題について理解を深めた後,また,職員から除雪に関するマナーを学んだ。2時間目では,旭川が抱えている雪に関する問題を解決するために,自分の家,学校周辺,地域と視野を広げると,自分たちにどういう行動ができるか考えさせ,ワークプリントへの記入,発表させた。発表を通して児童同士の学びあいが深められるようにした。3,4時間目では,学校や地域でできる自分たちが考えた除雪活動を,実際に大学生と協力して行った。  
授業評価は,授業中に児童が記述したワークシートと,授業後に書いたこの授業に対する作文から検討した。  
【結果と考察】
ワークシートの記述から,児童はこれまで除雪に関してほとんど考えたこともなく,知識もなく,経験も少ないことがわかった。授業を通して,除排雪費に多額の費用がかかること,除雪車で除雪できないところがあること,除雪は夜に行われ大変な作業であること,市民からの苦情が多いことなど多くの知識を得たことがわかった。また,除雪に関する問題を解決するために,自分たちにできることを家や学校周辺については個人で考えさせ,地域についてはグループで考えさせた。やはり,地域でできることを考えることは難しかったので,グループで考えさせてよかった。  
作文の記述から,「バス停やごみステーションの周りを除雪したら,たくさんの人にありがとうと言われ,うれしかった」「除雪は大変で,親の苦労がわかった」「地域の除雪作業など,できることは協力したい」など除雪活動を通して,気付いたこと,感じたことが多かった。小学生に,自分にできることを考え,実践するという市民性を育成するためには,体験活動が不可欠であるという結論を得た。
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© 2013 日本家庭科教育学会
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