抄録
【目的】平成23年度から第2次食育推進基本計画が実施され,小学校における食育はさまざまな取り組みが求められている。実施においては学校教育活動全体の中で計画的に体系的な食に関する指導を行っていく必要がある。食育の担当としての学校栄養職員(栄養教諭)が自校に配置されている学校は少なく,小学校教員一人ひとり食に関する指導の知識と理解が必要とされる。そこで本研究では,小学校教員養成課程の女子学生の食生活と食に関する教育に対する意識を明らかにし,それらの関連について分析,考察した。
【方法】2012年11月~12月に広島市私立大学小学校教員養成課程の女子学生2年生106名,3年生123名,合計229名に調査を行った。有効回答率は92.0%であった。食生活の実態は,朝食・夕食の状況,加工食品の利用,家庭での調理状況などの質問によってとらえた。食に関する教育への意識は,栄養教諭の理解,小学校での食に関する指導の場の認識,及び小学校学習指導要領家庭に示された「B 日常の食事と調理の基礎」の知識・技能などに関する質問によってとらえた。
【結果】食生活に関する実態は,朝食は「毎日必ず食べる」71.2%,「1週間に2~3日食べないことがある」21.8%,「まったく食べない」2.6%であった。「朝食でのおかず(汁ものは除く)が0品」は50.5%,「1品」は28.8%であり,朝食を食べているものの主食(ごはん,パンなど)と飲み物であることがわかった。現在の自分の食生活は健康的なものかには,「はい」17.0%,「いいえ」47.6%,「どちらともいえない」34.9%の回答であった。食に関する教育への意識では,学生が小学校の時に行った食に関する活動として,調理体験を9割,栽培体験を8割が挙げていた。小学校での食に関する指導は,「大変必要である」54.6%,「必要である」45.0%であった。栄養教諭について,「知っている」38.4%。「聞いたことがある」41.5%,「知らない」20.1%であった。小学校で食に関する指導を行う際,給食以外のどの時間に行うとよいかでは,「総合的な学習の時間」52.4%,「家庭」47.6%,「生活」41.5%であった。「B 日常の食事と調理の基礎」に関する結果では,「米飯の調理」「みそ汁の調理」「適切な後片付け」「こんろの安全な取り扱い」については,知識・技能ともに高いことがわかった。一方「必要な材料の分量や適切な手順」「材料を適切に味をつける」「材料を適切にゆでる」などは知識・技能ともに低かった。中でも「調理中に何かトラブルが起こっても,うまく対応することができる」は低かった。そこで,日常繰り返しの体験で習得できると考えられる「調理中に何かトラブルが起こっても,うまく対応することができる」の項目を「とてもそう思う」「そう思う」(以後,対応高意識)のグループと「あまり思わない」「まったく思わない」(以後,対応低意識)のグループに分けて家庭での食生活,調理実践状況について分析を行った。「調理をすることが好きである」は対応高意識グループが78.8%,対応低意識グループが64.0%,「家庭で野菜を切るなど包丁を使う」で「毎日使う」は対応高意識グループが16.3%,対応低意識グループが8.8%,「家庭でコンロを使う」で「毎日使う」は対応高意識グループが22.1%,対応低意識グループが11.2%であった。これらから小学校教員養成課程の女子学生は,朝食は食べているが,その質には問題があることがわかった。また,食育が必要であるとする意識は高いものの,食に関する指導上で大切であると考えられる調理に関する知識・技能については家庭での実践を通して確実な習得をすすめていく必要性があることなどの課題がみられた。