日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: A2-6
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第57回大会:口頭発表
消費者としての自覚を高める衣生活学習指導の工夫
ー言語活動の充実を通してー
*堀川 多加子村上 かおり鈴木 明子
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抄録
【目的】内容「D身近な消費生活と環境」についての研究は,他の内容についての研究と比べて,先行研究が少なく,具体的な商品を購入する例として,食品の購入例を取扱うものが多かった。筆者もこれまで,内容「D身近な消費生活と環境」の取扱いについて,中学生の身近な事例として,飲み物を購入する題材を設定し,内容「B食生活と自立」と関連させて扱っていた。生徒は熱心に取り組んではいたが,題材を通して考えを深め,学習目標を実現するに至っておらず,生徒の主体的な消費行動につながったと実感できた例も多くはみられなかった。その原因として考えられることは,次の二点である。まず,生徒が他の意見を聞き,自らの考えを深め,主体的に消費生活を振り返り,消費者としての自覚を高めるための指導の工夫が不十分であったこと,また飲み物の購入を考えることは,中学生にとって身近な事例でありながら選択時の要因が多すぎることで,主体的に消費生活を振り返る対象として適切ではなかったことが挙げられる。そこで,消費生活の学習において,中学生の身近な事例として衣服の選択を取り上げ,話合い活動によって言語活動の充実を図り,学習目標を達成させることを目指した。このような学習指導の工夫をすることで,生徒が自らの消費生活について主体的に考えることができるようになり,消費者としての自覚が高まると考えた。
【方法】本研究では,中学校第2学年(2学級50名)対象に,内容「C衣生活・住生活と自立」の学習との関連を図り,衣服の選択を取り上げる題材全体を通して問題解決的な学習となるように構成し,話合い活動を通して考えたり説明したりする学習を行わせた。問題解決的な学習過程の中で,話合い活動を意図的・計画的に位置付け,自らの考えを他者に伝えさせたり,他者の意見から自分の考えを深めさせたりした。また生徒が自らの変容を確認できるようなワークシートを作成し,話合い活動を経て変化していく自分の考えが,学習の流れに沿って見えるようにした。なお研究授業は平成25年12月に行った。
【結果】生徒は意欲的に学習に取り組み,話し合い活動を経て,自らの考えを深め,主体的に消費生活を振り返ることができた。生徒のワークシートやレポートの内容からも,意欲が伝わってきた。また生活場面での実践を行った生徒が多くみられた。学習を進めるなかでも,生徒から毎時実践報告が寄せられたことから,生活場面において,実践につながる題材であることが明らかとなった。さらに生徒は話合い活動における友達の意見や指摘などによって,自分が挙げていた課題を再検討するきっかけをつかんだ。その結果,課題を再設定したり,考えを深めたりしており,話合い活動は学習を進めるうえで,効果的であった。このことは,話合う活動に対する意識にもみられ,「話合う活動が自分の考えを深めることに役立つ」という回答が約80%を占めた。また「家庭分野の学習で,話合う活動は大切であると思う」ことに対しても,肯定的な回答が多かった。話合い活動の前後を比較した結果では,肯定的な回答は増加しており,話合う活動について,有用感が育まれたことが明らかとなった。衣服は,購入後すぐ無くなる食品とは違い,長期間着用するものであり,できるだけ失敗をしたくないという思いから意欲的に学習したと思われる。またそれだけではなく,中学生にとって,食品選択は家庭の状況によって考え方や購入方法が限定されてしまうが,衣料品は,自分の考えで購入できるなど,食生活に比べ衣生活を考える方が個人的な自由度があったと考えられる。このことから,消費者としての自覚を高めるために衣服の選択・購入を取り上げることの有効性が示唆された。さらに,この題材を中学2年生で設定したことも,自分の衣服などに興味・関心が高まっている時期であることから,より有効に働いたと考えられる。

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