日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: B2-7
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第57回大会:口頭発表
イングランドの「デザインと技術」の新ナショナル・カリキュラム
- 初等・中等学校における「調理と栄養」の必修化 -
*井元 りえ
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抄録
【背景と目的】 
イングランドの2014年9月から施行予定の新ナショナル・カリキュラムでは、科目「デザインと技術(Design & Technology)」の食教育分野において、新たに、5歳から14歳のすべての児童・生徒が、必修として「調理と栄養(Cooking and nutrition)」について学習することが決定した(2013年9月11日、教育省交付)。これは、イングランドにおいて歴史上初めてのことである。  日本では、家庭科は、小学校5年から高等学校まで必修となっているが、小学校1年生から4年生まででは教えられていない。日本においても、小学校1年生から4年生までで家庭科を学ばせた方がよいのではないか、という意見もあるが、イングランドの事例が日本の参考になると思われる。   そこで、本研究は、イングランドの新「デザインと技術」の「調理と栄養」の学習の特徴を捉え、このカリキュラムに至った背景や、授業プランや教材などについて探ることを目的とする。
【方法】
(1)イングランドのナショナル・カリキュラム(2013年9月11日公布)の「デザインと技術」の学習プログラムの分析
(2)Roy Ballam氏(英国栄養基金の教育プログラムマネージャー)とJanet Jepson氏からの聞き取り調査(2014年2月23日)、及びそれに基づく資料の分析
【結果及び考察】  
新ナショナル・カリキュラムの「デザインと技術」の学習プログラムは、キーステージ1,2,3、および「調理と栄養」の4つの部分に分かれている。「調理と栄養」には、調理、栄養だけでなく、もう一つの特徴的な内容として、食材の旬や生産・流通についての学習が含まれている。これは、持続可能な社会をめざすESDの学習という意味でも意義があると考えられる。日本の家庭科では、食品の生産・流通についてはあまり含まれていないため、イングランドの事例が日本の参考になると思われる。  
Roy Ballam氏及びJanet Jepson氏からの聞き取り調査、及びそれに基づく資料の分析では、以下のことが分かった。 
・ この必修化の背景には、子どもの肥満と不健康な食生活の実態があると考えられる。2004年7月にOFSTED(教育水準局)が発行した「早期開始:幼い子どもたちへの食物・栄養教育」にもそのことが述べられている。
・ 2013年5月に英国栄養基金が行った調査(対象:5歳~16歳の27,500人)によれば、初等学校の子どもたちのうちの約1/3が「チーズは木になる」と答えるなど、食材の由来を知らない子どもが多いことがわかったという。
・ 「調理と栄養」は、まだ「デザインと技術」という科目の中に入っており、新しい科目を作るには至らなかった。
・ 教師たちの中には、「調理と栄養」だけで良いのか?と疑問を呈する人たちもいる。
・ このカリキュラムには手引き書がない。そのため、各学校で、教師は自分たちで授業作り、教材作成、評価をしなければならない。1989年にナショナル・カリキュラムが導入される以前は、教師は自分たちで授業づくりをしていたが、導入後は、教師はナショナル・カリキュラムに従って授業をするようになってしまったため、創造力がなくなってしまった。
・ 助言をくれるような所は政府にはない。そのため、英国栄養基金などの組織やスーパーマーケットなどが、いろいろな教材や授業案などを提供している。
・ 英国栄養基金は、食事、消費者意識、調理、食品の安全、活動的な生活様式の5分野に関する中核能力(コア・コンピテンシー)について草案を公表している。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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