日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: B3-5
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第57回大会:口頭発表
「社会人基礎力」育成を図る高等学校家庭科専門教育のカリキュラムの検討
―教師,生徒の実態調査から―
*京極 周子鈴木 明子
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抄録
【目的】
 中央教育審議会(平成23年1月)「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」では,職業教育はどのような人材が必要とされているのかを把握し,地域の企業等と協力して生徒の力を高めていく指導を要請している。一方,経済産業省(2007)では,これまで企業側が不明確としていた求める人材像に必要な力を「社会人基礎力」として,3つの能力(アクション,シンキング,チームワーク)と12の下位能力にまとめ,社会で活躍するための必要条件として,産業界と学校の連携による人材育成を求めている。平成11年学習指導要領改訂において高等学校家庭科は普通教科と専門教科に区分され,専門課程では「生活産業に従事するスペシャリストとして働く実践的態度の育成」を専門教育の目標として明示し,導入の必修科目として「生活産業基礎」が新設された。平成22年改訂では学習内容の構成を変えながらも,専門的な学習への動機や卒業後の進路に向けて生徒の意識を深めることを学習のねらいとしている。しかし,当該の教科書の発刊はなく,学習内容は教育現場に一任されている。今後の学校教育を進めるに当たって餅川(2013)は,「個人の側から社会を考えるという姿勢にとらわれず,社会の側(職業の側)から生徒個人を考えるという姿勢の転換が教師に必要である」と論じている。また,三浦(2010)による総合学科に学ぶ高校生を対象にした「社会人基礎力」の視点を取り入れた実践がみられる。しかしながら,我が国の生活産業を担う人材育成において家庭科専門教育がその役割を果たすためには,科目「生活産業」の中で社会の要請を踏まえたカリキュラムの検討が求められる。本研究では高等学校家庭科教員及び生徒の「社会人基礎力」に関する意識を問う調査から課題を明らかにすることを目的とした。それらの結果に基づいて,「社会人基礎力」の育成を目指した科目「生活産業基礎」のカリキュラムの検討のための示唆を得たい。
【方法】
1.2013年7から8月に,広島県の県立高等学校家庭科教員147名(有効回答数98名)を対象に,科目「生活産業基礎」の指導及び「社会人基礎力」に関する質問紙調査を実施・分析した。
2.2013年8から9月に,広島県の県立高等学校「家庭に関する学科」に学ぶ2年生238名を対象に,科目「生活産業基礎」及び「社会人基礎力」に関する質問紙調査を実施・分析した。
3.1と2の結果に基づいて,科目「生活産業基礎」の学習の重要性と成果及び「社会人基礎力」について,家庭科教員と生徒の項目間の関係について分析した。
【結果】
1. 科目「生活産業基礎」の平成15年から現在までの指導経験について「経験がある」27.8%,「経験がない」72.2%であった。「社会人基礎力」について,(1)学校教育で身に付ける必要性,(2)生徒はその力を身につけていると思うか,(3)企業から求められていると思うかの視点から問い,(3)について指導経験による違いがみられた。
2.分析対象の高校生の77.5%は「この学科に入学したかった」と回答し,学習を振り返る項目「資格・検定が取得できた」,「進路選択に役立っている」では,肯定的な回答が7割以上みられた。「社会人基礎力」については,(1)その力を身につけていると思うか,(2)企業から求められていると思うかの視点から問うた。(1),(2)ともに3つの能力のうち「チームワーク」を重視する傾向が見られた。
3.「社会人基礎力」について,教員と生徒との関係をみると「シンキング」の3項目に差が見られ,生徒はその力が身についていると考えているが,教員は考えていない傾向が見られた。また,生徒は教師ほど企業から求められている力とは考えていないという傾向が見られた。これらの結果から,「社会人基礎力」育成を図るためには,「シンキング」に係る学習場面を考慮し,科目「生活産業基礎」のカリキュラム検討が必要であると考える。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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