日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: B4-3
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第57回大会:口頭発表
母親の子育て観と家庭科学習内容に対する意識との関係
*梶山 曜子鈴木 明子
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キーワード: 母親, 子育て観, 小学校, 家庭科
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抄録
【目的】
 家庭科で身に付ける基礎的・基本的な技能は日常生活で実践され活用されるべきものである。しかし現在の小学生の家事体験は乏しく,家庭科で学んだことを日常生活で実践する機会も減少している。浜島(1991)は家庭科学習に対する関心度が高い母親は家庭で子どもに家事を実践させていることを明らかにしているが,母親の多くは家庭科の目的や内容などの認識が十分ではないことを指摘している。堀口(2005)は母親の就業状況にかかわらず,子どもに過度に手を貸さないことの重要性を示唆しており,母親の子育て観の違いが子どもの生活技能の習得に関係していると推察している。そこで本研究では,母親の子育て観と小学校家庭科学習内容の基礎的・基本的技能に対する母親の意識との関係について近年の状況を明らかにすることを目的とする。
【方法】
 2013年10月~12月に広島県内の5市1郡在住の小学校5,6年生の児童をもつ母親を対象として質問紙調査を行った。296部を配布し213部(有効回答率85.9%)を回収した。子育て観に関しては,田村(1978),浜島(1991)の研究を参考に,生活重視項目10項目,学業優先項目10項目を作成し,それぞれの項目の合計得点の平均値を算出した。調査対象を4つの子育て観(生活項目も学業項目も平均値より高い群「全方位型」,生活項目のみ高い群「生活重視型」,学業項目のみ高い群「学業優先型」,生活項目も学業項目も低い群「放任型」)に分類し分析を行った。
【結果】
(1)母親の子育て観で最も多かったのが生活重視型28.4%で,次いで学業優先型27.3%,全方位型25.1%,放任型19.1%であった。男子では学業優先型が最も多く,女子では生活重視型が最も多かった。
(2)家庭科学習内容に対する関心度においては,男女とも放任型は全体的に関心度が低く,女子の学業優先型と全方位型においては全体的に関心度が高かった。学習内容別にみると「食事役割」「栄養素」「栄養バランス」「調理基礎」においては関心度が高かった。「衣服の着方」「製作」「手縫い基礎」においては関心度が低く,特に男子において顕著に低かった。
(3)「男女平等」「生活の原理・原則」「消費者意識」を身に付けることに対する重要度は4つの子育て観ともに低く,放任型の女子において顕著であった。放任型の男子以外は「日常の礼儀」「家族のきずな」「仲間意識」「規律」「生活の知識・技能」の重要度は高かった。「生活をよりよくする態度」の重要度は放任型男子,学業優先型女子が低かった。
(4)食の内容「ゆでる・炒める料理」「みそ汁の作り方」「食器の洗い方」に関しては,教えたことがある割合が低く,男子の学業優先型と放任型において顕著であった。
(5)衣・住の内容「整理整頓」「洗濯物のたたみ方」「上靴の洗い方」に関しては,どの子育て観においても教えたことがある割合が高かったが,「ミシンの使い方」「基礎縫い」「ボタン付け」「洗濯機の使い方」「アイロンの使い方」に関しては,教えたことがある割合は低く,男子において顕著であった。
(6)すべての項目において母親が教えるべきと答えた者が最も多かったが,学校が教えるべきと答えた者が多かったのは,「ミシンの使い方」「基礎縫い」「ボタン付け」であった。
【まとめ】
 「ゆでる・炒める料理」「みそ汁の作り方」「食器の洗い方」など男子の学業優先型と放任型においては,母親が教えるべきと答えた者が多かったにもかかわらず,教えたことがある割合は顕著に低かった。「ミシンの使い方」「基礎縫い」「ボタン付け」に関しては,どの子育て観の母親も関心度が低く,教えたことがある割合も低かったが,それらの技能を習得させることに対して必要ではないと答えた者はいなかった。小学校家庭科でそれらの技能を習得させることに意義を感じていると思われる。以上のことから,母親の子育て観の違いが家庭科学習内容に対する意識に影響を及ぼす項目と子育て観に無関係に影響する項目があることが明らかになった。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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