日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: B4-5
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第57回大会:口頭発表
高等学校における家庭科教育の意義
家庭科と家庭生活に対する意識調査からの考察
*土屋 善和堀内 かおる
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抄録
【研究目的】
  (財)日本青年研究所(2010)の意識調査結果をみると、「目指す大学の受験科目を中心に学習すること」を「重要」と考えている高校生は86.4%であった。このことから、高校生にとって「受験」は非常に大きな意味を持つことが明らかであり、高校生は受験に関わる教科の学習を重要視していることが推測される。そうした高校生の実態がある中で、受験科目ではないが生活を創造するための思考力や判断力を育成する家庭科は、高校生にとってどのような教科として位置つけられているのか、高校生が家庭科をどのように捉えているのかを明らかにすることで把握できると考えた。また、生徒が実際の家庭生活に対してどのように考えているのかによって、生徒の家庭科に対する意識は異なるのではないかと考えられる。
 そこで本研究は、高校生が家庭科をどのような教科と捉え、家庭生活に対してどのような意識を持っているのかを質問紙調査から明らかにし、高校段階における家庭科教育の在り方に対する示唆を得ることを目的としている。
【研究方法】
  2012年12月に神奈川県下の高校に通う生徒195名(男子112名女子82名)を対象に「家庭科学習と生活意識に関するアンケート」を実施した。対象の高校はいずれも進学校である。進学校に通う生徒は大学受験への意識が高く、受験での必要性によって教科の学習の捉え方に影響があると考えられるため、受験教科でない家庭科をどのように捉えているのかがより明確に表れるのではないかと考えた。集計にはSPSS統計パッケージver18を使用し、統計的な有意性の検証には、χ²検定を行った。
【結果および考察】
1.家庭科の教科観 
 まず生徒には、「家庭科はどのような教科でしょうか」という問いと「家庭科に対してどのようなイメージを持っていますか」というような、家庭科を主観的に捉えた生徒の意識を調査した。家庭科は「男女関わらず学習する意味のある教科である」かどうか尋ねたところ、「そう思う」と回答した生徒の割合は男子92.0%、女子98.8%であり男女共に高率であり、女子の方が有意に高率であった。また「社会と関わりのある教科である」と尋ねたところ「そう思う」と回答した生徒の割合は男子76.8%、女子90.2%と女子の方が有意に高率で9割の生徒が家庭科は家庭の衣食住だけでなく社会とつながりを持った教科であるという意識を持っていたことがわかった。
2.家庭生活に対する知識 
 「結婚や出産の時期には、女性は退職して家庭に専念する方が良い」と尋ねたところ、「そう思う」と回答した生徒は男子61.1%、女子31.7%であった。また「男性は外で働き女性は家庭にいることが望ましい」と尋ねたところ、「そう思う」と回答した生徒は男子48.7%、女子13.4%であった。男女共に半数以下であったものの、男子の方が有意に高率であり、男子の方が性別役割分業意識を持っていると考えられた。「家事、育児や介護は女性の方が向いている」と尋ねたところ、「そう思う」と回答した割合は男子69.0%、女子42.0%であった。 
 以上のことから、男女共に家庭科を学習する意味のある教科であることを認識しているにもかかわらず、男子生徒は女子生徒よりも社会と関わり合っている教科という意識が低率であり、学びたい学習内容からも家庭科は「生活(衣食住)について学ぶ教科」という意識が女子生徒よりも高い。結果、女子生徒に比べて性別役割分業意識を持つ男子生徒は家庭科に対する意識が低かったのではないかと推察された。 
 家庭生活は家族が互いに協力し築き上げていくものであり、社会や地域と関わり合い成り立っている。大学進学を経て社会の一員となっていく高校段階において、社会と自分たちの生活とのつながりを認識し 、主体的に生活を創造するための家庭科教育を実践していくことが重要であるだろう。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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