日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: 3-4
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2014例会:口頭発表
家庭科におけるキャリア教育の教材に関する提案
*丹 采風志村 結美
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抄録
【目的】
 近年、情報化や国際化など子どもの育つ社会環境は大きく変化し、産業・経済の構造的変化や雇用状況の変化によって子ども自身の将来の捉え方にも影響を与えている。また、我が国の子どもたちは、他国に比べて、将来就きたい仕事や自分の将来のために学習を行う意識が低く(TIMSS調査2007・PISA調査2003、2006)、職業意識・職業観が未熟で、進路意識・目的意識が希薄なまま進学する者の増加など「社会的・職業的自立」に向けた課題が見られている 。  教育現場において、中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(2011)では、キャリア教育を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達(社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程)を促す教育」と新たに定義し、より一層の充実を求めている。各都道府県においても、インターンシップなどの体験活動の実施や地域の特色を生かしたカリキュラムや教材の開発がなされている。高等学校家庭科では、新学習指導要領(2009)において「生涯の生活設計」が「家庭基礎」「家庭総合」「生活デザイン」の全てにおいて取り扱う内容とされた 。自己の在り方生き方を、生活という視点を通して総合的に捉え、主体的に創造するのが家庭科教育である。主体的な生活を創造するためには、経済的自立とそれを支える職業生活、家庭生活、地域生活の充実は欠かすことができない。この三者のバランスを考え、社会的・職業的自立を支援する上で家庭科教育の担う役割は非常に重要なものであると言える。 以上より、本研究では各都道府県におけるキャリア教育に対する取り組みの調査と高校家庭科教員に対する調査を行い、それをもとに家庭科におけるキャリア教育の教材開発を行うことを目的とする。
【方法】
 各都道府県におけるキャリア教育の取組みに関する調査を行い、各都道府県発行のキャリア教育教材の比較・分析を行った。次いで、2013年11月中旬から2014年1月上旬の期間に、秋田・山梨・愛知・広島の四県の高等学校家庭科教員93名を対象に、①各学校におけるキャリア教育の取組み、②家庭科におけるキャリア教育の取組み、③キャリア教育に関する教材の活用、④高校生の実態に関する教員の認識等、キャリア教育に関するアンケート調査を行った。以上の調査を踏まえ、高校家庭科におけるキャリア教育の教材に関する提案を行う。
【結果及び考察】
 各都道府県発行のキャリア教育教材の比較・分析を行った結果、職業に関する内容だけでなく、生活や家庭、地域など、家庭科に関連の深い内容の必要性が認められた。アンケート調査では、家庭科におけるキャリア教育の必要性を感じている教員が多い一方、家庭科の学習内容とキャリア教育の関連性が意識化されていないことがうかがえた。また、家庭科におけるキャリア教育を行う上での課題について、他の項目と比較しても「時間の確保」が大幅に高い結果となり、大きな課題であることが明らかとなった。さらに、家庭科におけるキャリア教育に関連の深い学習内容について、中教審答申(2011)において新たに定義された「基礎的・汎用的能力」ごとに分類し、授業実践・重視度について平均値をみたところ、どちらにおいても「基礎的・汎用的能力」のうち、「自己管理・自己理解能力」「課題対応能力」が比較的低い結果となった。家庭科におけるキャリア教育で培われる能力や現在の高校生の課題においても、「基礎的・汎用的能力」に関わる能力等が課題になっていることが明らかとなった。以上より、①家庭科の特性を生かしたキャリア教育の視点(生活・家庭・地域等)を取り入れ、従来の家庭科の指導計画に無理なく取り入れられることと、②「基礎的・汎用的能力」の視点がわかるような指導計画・教材開発の必要性について配慮することの2点を踏まえて、家庭科におけるキャリア教育の教材を考案した。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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