日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: 3-5
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2014例会:口頭発表
中学校家庭科における意思決定プロセスの指導と評価の一体化に関する研究
*角間 陽子小口 博子
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抄録
【目的】
 中央教育審議会による学習評価の在り方についての報告(2010)を受けて,文部科学省では学習指導の見直しや学習の確実な定着のために学習評価の改善を図ることを基本方針のひとつに挙げている。また,同報告は「思考・判断・表現」の評価では「思考・判断の結果だけではなく,その過程を含め評価することが特に重要である」としている。
 消費生活の学習においては,最適解をさまざまな要件に照らして多角的に考えられる力を育成することが求められている。したがって,学習をとおして生徒がどのように考えるようになったのかという,思考の過程を評価することが必要であり,そのための指導のあり方を工夫しなければならない。
 2013年度の例会では,責任がもてる意思決定のための思考の原理を体験的に学ぶことで,生徒はよりよい選択をするには思考の原理を用いることが必要であることを理解したり,思考の原理が一般化できることに気づいたりしたことを報告した。しかし,実際に生徒が学んだ思考の原理を活用することができるのかを確認するまでには至らなかった。そこで,意思決定プロセスの指導と評価の一体化を図った授業を構想・実践し,その効果を明らかにすることを目的として本研究を行った。

【方法】
(1)長野県諏訪市の公立中学校1年生5クラス172名を対象として2014年4月,商品選択についての考えを把握するためのアンケート調査を実施した。
(2)学んだことを活用して考えられているかをとらえるためのパフォーマンス課題と,この課題に取り組むための指導案および教材を作成し,2014年6月に実施した。
(3)アンケートの調査票と授業のワークシート2枚すべてが揃っていた生徒162名を分析に供し,授業の効果について検討した。

【結果】
(1)授業は2単位時間で構想した。まず,4月に回答した「商品選択についての考え」をふり返って自分が選んだ方法のメリット・デメリットを付箋に書き出し,班ごとにすべての方法のメリット・デメリットを複数の観点から整理する。その後,これらの観点に基づいて明確にした「自分が大事にしたいこと」から一回目の選択を見直した。次に,他者が関係する設定で同じ商品を選択するという場面で方法を選び,大事にしたいことをふまえて理由を記述する。さらに,この商品を選ぶ場合に必要な情報を読み取りながら,なぜその情報が必要であるのかを考えた。授業の最後に,二回目の選択と同様の他者が関係している異なる場面において,どのように意思決定をするかというパフォーマンス課題に取り組んだ。
(2)一回目の意思決定場面では,「方法1」と「方法3」が30.9%,「方法2」が20.4%,「方法4」が17.9%となった。二回目の意思決定場面では「方法3」が54.3%で最も多く,次いで「方法2」が23.5%となり,30.8ポイントの差が認められた。また一回目の「方法3」より23.4ポイント高い値となっていた。一回目と二回目の意思決定場面で結論が変化した生徒は66.0%であった。
(3)授業のまとめとして取り組んだ三回目の意思決定場面における生徒のパフォーマンスを分析したところ,授業で確認した意思決定プロセス6要素のすべてが含まれていた生徒は3.7%,まったく含まれていなかった生徒は8.6%で,含まれていた要素の平均は2.4という結果であった。最も多かったのは「複数の方法を考える」が含まれている記述で,118名の生徒に認められた。一方,「情報を収集する」を含む記述をした生徒は26名にとどまった。
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© 2014 日本家庭科教育学会
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