日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第59回大会・2016例会
セッションID: P33
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第59回大会:ポスター発表
「他者とよい関係をつくる力」を評価するパフォーマンス課題の検討
*角間 陽子
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抄録
【目的】
生活の枠組みの範囲が拡大する一方で生活の単位が縮小し,多様化・複雑化する生活課題に共同・協働して取り組むことが求められる現代においては,生活の質を高める生活経営力のひとつとして「他者とよい関係をつくる力」がますます重要となっている。家庭科では家族,幼児,地域の人々,高齢者との直接的なふれあいを通して,他者の心情や立場を理解したり,他者とのよりよいかかわりを工夫するなどの学習を行ってきた。その実績を踏まえつつ,「他者とよい関係をつくる」ために必要となる具体的な知識やスキルを学ぶ授業のあり方や,学んだ知識やスキルを使いこなせる段階の理解へと達することができたか,実際に生活の中で活用することができているのかを評価する方法を追究していくことが求められている。そこで「他者とよい関係をつくる」ために必要な知識とスキルを学び,それらを活用することができるかを評価するパフォーマンス課題の検討を目的として本研究を行った。

【方法】
(1)長野県茅野市の公立中学校1年生4クラスを対象として2単位時間の授業を2015年10月下旬から11月上旬にかけて実施した。授業の学習指導過程や教材,パフォーマンス課題のシナリオと解答への指示は,伊澤・角間(2016)を参考に,本授業対象となった生徒の実態を踏まえて改善した。
(2)授業時間内で,学習についての意識を把握するための質問への回答と,学習内容の理解を評価するためのパフォーマンス課題への解答を求めた。
(3)授業実施の約2か月後となる12月下旬から1月上旬にかけて,学習の定着を見取るための事後調査を行った。
(4)学習についての意識調査票と授業で使用した学習カード及び事後調査票の3枚が揃っていた生徒95名のデータを分析に供し,学習効果を検討した。

【結果】
(1)学習についての意識調査において,家族について学ぶことに対する興味が「ある/どちらかといえばある」という生徒は50.5%,「ない/どちらかといえばない」という生徒は49.5%であった。家族の学習で学びたいこととして最も多かったのは「家庭の仕事」で,次に「家庭と地域とのかかわり」が挙げられていた。
(2)アサーションレベルを判定する20項目への回答を得点化して集計した結果,最小値は3,最大値は20,平均値は14.3となった。アサーションレベルが「普通」と判定される10点以上の生徒は86名であった。
(3)授業のまとめで取り組んだパフォーマンス課題に対する解答を分析したところ,B以上の評価となった生徒は「自分の意見を伝える言葉」の観点が78名,「相手の気持ちに配慮する言葉」の観点が58名,「言葉と一致した態度」の観点が74名であった。
(4)授業の約1か月後に実施した事後調査における生徒のパフォーマンスを分析した結果,「自分の意見を伝える言葉」の観点で38名,「相手の気持ちに配慮する言葉」の観点で73名,「言葉と一致した態度」の観点で75名がB以上の評価となった。
(5)生徒のパフォーマンスに,アサーションレベルによる顕著な差は認められなかった。
以上の結果より,自分のアサーションレベルを認識したうえで臨む学習指導過程や,授業と事後調査で取り組むパフォーマンス課題のシナリオについて,さらに追究する必要が示唆された。
 
伊澤奏絵・角間陽子(2016).中学校家庭科における家族関係の学習指導・評価に関する研究,東北家庭科教育研究,15,15-21.印刷中

本研究は,科研費基盤研究(C)25381163の一部である。
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© 2016 日本家庭科教育学会
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