日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: 1-4
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2017年例会
中学校・高等学校家庭科における防災の視点を取り入れた学習 -山形県内の家庭科教員対象調査より-
石垣 和恵
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抄録
【背景・目的】
 家庭科は学校教育において防災視点の教育が位置づけられている教科の一つであり、中学校家庭科住生活領域で防災に関する学習が行われてきた。しかし家庭科の学習時間は少なく、住生活領域に十分な学習時間を配当することは難しい。一方、山形県内の防災教育実施率は、中学校は7割、高校が4割にとどまり、学校教育における防災教育の課題は主として時間確保や教材・教育プログラムの不備等であると報告されている1)。また、山形県内の高校生は東日本大震災後も「避難訓練以外の防災教育を受けた」の回答が半数以下であり、防災に関する意識は「直後は高まったが現在は徐々に薄れている」が6割と多かった2)。近年、防災視点での食生活、衣生活等の授業実践例が報告され、防災の視点で生活を見直すことは生活の原点を見つめる意義ある学習であることが示唆されている。つまり、家庭科の全領域に防災視点の学習を取り入れることにより、一年間に複数回、防災を意識させる授業ができ、従来防災教育の課題であった時間確保が難しいという問題の解決にもつながると考える。そこで、本研究では防災の視点を取り入れた家庭科学習プログラム開発に向けた基礎資料とするため、中学校・高等学校での防災視点の学習状況を調査した。
【方法】
 2019年3月、山形県内の中学校および高等学校(全日制)家庭科主任を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。有効回収数は中学校38名(有効回収率38.4%)、高等学校35名(有効回収率57.4%)であった。調査内容は1)学習指導について(学習指導計画作成時に参考にするもの、新しく授業を構想する際に参考にするもの、重視している学習領域等)、2)防災の視点を取り入れた学習(配当時間とその内容)である。
【結果・考察】
 回答者は、中学校家庭科主任対象調査回答者の75.6%は40歳代以上であり、指導経験年数は21年以上が47.4%であった。高校家庭科主任対象調査回答者は40歳代以上が8割を超え、指導経験年数は21年以上が68.6%だった。
(1)学習指導について:新しく授業を構想する際に参考にするものは、中学校では教科書会社発行の指導書86.8%、指導事例集63.2%、教科部会主催の研修会44.7%であった。高等学校では「教科書会社発行の指導書を参考にする」は中学校に比べて少なく、教科部会主催の研修会が85.7%と多かった。学習内容で重視している領域は、中学校は食生活65.8%、衣生活や住生活などの生活の工夫39.5%、乳幼児の生活と家族34.2%だった。高校では食生活97.1%、人の一生と家族・家庭60.0%、子どもや高齢者との関わりと福祉57.1%だった。
(2)防災の視点を取り入れた学習:中学校実施率は81.4%で、8割が住生活領域での学習だった。高校実施率は71.4%で、6割が住生活、食生活が2割、他領域も少数だが実践例があり中学校に比べて多様な授業がみられた。
 そこで今後はまずはじめに、中学校・高校で重視している食生活領域での防災の視点を取り入れた学習の提案を検討したい。
文献
1) 村山良之(2009) 山形県の学校における防災教育の実態と課題、山形大学教職・教育実践研究第4号,83-92
2)石垣和恵、大場広子、大竹恵里(2015)  山形県における高校生の防災に関する意識と防災教育の現状、東北家庭科教育研究第15号39-46
著者関連情報
© 2017 日本家庭科教育学会
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