日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: 2-1
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2017年例会
家庭科における情報化に対応した授業の検討
ICT活用の可能性
成島 勇樹*志村 結美
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キーワード: 小学校, 家庭科, 情報化, ICT
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抄録
【目的】情報化社会において、教育では、中央教育審議会答申(2008年1月)にて、「効果的・効率的な教育を行うことにより確かな学力を確立するとともに、情報活用能力などの社会の変化に対応するための子どもの力をはぐくむため、教育の情報化が重要である」とされ、学習指導要領において、情報教育及び教科指導でのICT活用についての充実が図られた。生涯にわたってより良い生活を送ることを目指した家庭科は生活に根付いた情報活用能力を育てられると考えられる。そこで本研究では、小学校教員と小学生を対象に、実態調査を行い、現状を明らかにし、小学校家庭科における情報化に対応した授業を検討することを目的とする。小学校教員のICT活用に関する認識の実態、児童のICT機器への認識や情報活用能力に関する実態を明らかにするとともに、その実態把握をもとに小学校家庭科における情報化に対応した授業を考え、授業実践を行うことにした。

【方法】山梨県・静岡県内全小学校教家庭科担当教員対象ICT活用に関する実態調査(2015年6月~7月実施、有効回答数237名、回収率33.8%)、小学生対象ICT利用に関する実態調査(2015年10月~12月実施、2校3~6学年601名)をアンケートを用いて行った。次いで、アンケート結果を踏まえ、情報化に対応した授業を設計し、Y大学附属小学校5年生にて試験的に授業実践し、検討分析を行った。

【結果及び考察】教員対象調査より教育活動におけるICT利用について、ほとんどの教員がICTは効果的だと捉え、4分の3以上の教員がICTを活用していた。しかし、教科別に見ると「家庭科」は7番目の34.3%%であり、あまり活用されていないことが明らかとなった。期待できる効果については、「学習に対する興味・関心・意欲が高まる」において、8割を超える肯定的な回答があった一方、「表現力が身につく」10.4%、「多様な評価ができる」8.7%等の項目は低い結果となった。ICT活用における課題は多くあり、中でも「ICTについての知識・スキル不足」71.8%、「ICT機器の充実」63.1%、等が課題だと回答した教員が多く見られた。
小学生対象調査より、情報化が進み、子どもたちの生活空間の中にも多くのICT機器があることが明らかとなった。また、6割を超える家庭でICT機器利用に関する家庭内ルールが決められていた。児童は、著作権や個人情報についてはよく認識しているが、自分から情報を集めたり、情報を自ら発信していくという情報活用能力に関しては課題が認められた。
ICTを使った授業については、9割近くの児童が「楽しい」、「わかりやすい」等の回答をし、肯定的に捉えているため、授業においてICTを活用していく意義があると考えられる。一方、「ICTを使うと自分の考えや意見をわかりやすく伝えることができる」では肯定的な回答が少なく、この点でも表現力に課題が認められた。また、生活に関わる実態と情報活用能力は関係性が強い結果となり、生活に関する実態がよく出来ている児童は、情報活用能力も高いことが明らかとなった。
以上の調査の検討を行った結果、小学校家庭科における情報化に対応した授業の検討を行う上で、重要なキーワードとして①情報活用能力、②問題解決能力、③教え合い・学び合い等の協働的な学び、④多様な評価、⑤表現力の向上を導き出し、以上を踏まえた試験的授業「日常食の調理(りんごの皮むきをしよう)」を設計した。授業では、タブレット端末を使用し、りんごの皮むきの様子をペアで撮影しながら、個人評価、相互評価、全体評価が何度か繰り返されるようにし、教え合い、学び合い等の協同的な学び、多様な評価ができるようにした。授業による児童の変容については、りんごの皮むきに対して、概ね、肯定的にとらえることができ、タブレットを使った授業についても、個人評価や相互評価において、改善点、課題を見つけることができたと回答する等、肯定的に捉えていた。
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© 2017 日本家庭科教育学会
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