日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第61回大会/2018年例会
セッションID: A4-4
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中学生の時間配分類型と時間使用に関する自己評価
*李 秀眞
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抄録

研究目的 本研究の目的は、中学生の生活時間配分を類型化し、類型別の時間管理行動、将来展望および時間使用に関する自己評価の特徴を明らかにすることである。
分析データおよび分析に用いる変数 分析に用いるデータはベネッセ教育総合研究所の「放課後の生活時間調査(2013年)」である。調査時期は2013年11月11日から15日まで5日間であり、調査対象者は小学生5年生から高校2年生の合計8,100名である。このデータには、生活時間データが含まれているが、本稿では、生活時間の合計が1440分である中学生3,096人を対象とする。時間使用に対する自己評価に影響を与える要因を分析するために、日ごろの時間使用に関する自己評価を被説明変数として用いる。測定方法は、「あなたの日ごろの時間に使い方は、100点満点で、だいたい何点くらいだと思いますか」という質問に対し、回答は0から10の範囲で測定され、そのまま変数として分析に用いる。説明変数として、時間管理行動、将来展望を用いた。時間管理行動に関しては、Lee(2015)の研究に基づき、下位領域として、自立性、規則性、計画性を設定した。測定方法は、自立性については、‘朝は自分で起きる’、‘人にいわれなくても自分から勉強する’の2項目と構成した。規則性については、‘規則正しい生活をしている’、‘約束の時間を守るほうだ’の2項目、計画性については、‘計画的に勉強をする’、‘思いついたらすぐ行動に移すほうだ’、‘将来の目標がはっきりしている’の3項目と構成した。各尺度の信頼度 Cranbach’s α値は自立性0.846、規則性0.912、計画性0.843であった。将来展望については、‘将来のためにがまんするよりも今を楽しみたい’、‘将来は世界で活躍したい’、‘これらかの世の中をよくするためにがんばりたい’、‘将来の目標を持ちたい’の4つの項目を設定した。それぞれの項目は、「とてもあてはまる」(1点)~「まったくあてはまらない」(4点)の4件法で測定された。
分析方法 中学生の時間配分の類型化を行うために、生活時間の中分類(8分類)を基準軸にクラスタ分析(K-means Cluster analysis)を行った。類型別の時間管理行動、将来展望および時間の使い方に対する自己評価の特徴を明らかにするために、一元配置分散分析を実施した。また、時間配分類型別に、時間使用に関する自己評価に影響を与える要因を分析するために、重回帰分析を行った。
分析結果 第1に、中学生がどのように生活時間を配分しているのかを確認するために、類型化を実施した結果、3つの類型が抽出された。具体的に、類型1は27.45%、類型2は45.32%、類型3は27.23%を占めている。各類型別の生活時間の分布を参考に、類型1を学校外学習型、類型2を学校中心型、類型3をメディア中心自由時間型と命名した。第2に、男子学生についてみると、時間管理行動においては、規則性と計画性が時間使用に関する自己評価に影響を与えることが検証された。すなわち、規則性が高いほど、また、計画性が高いほど自分の時間使用に関する自己評価が高かった。以上の結果は、学校外学習型、学校中心型、メディア中心自由時間型ともに共通した結果であった。次に女子学生についてみると、時間管理行動においては、自立性と規則性が高いほど、自分の時間使用に関する自己評価が高く、3つの類型に共通した結果であった。一方、学校外学習型と学校中心型では計画性が高いほど、自分の時間使用に関する自己評価が高かった。さらに、女子学生のうち、メディア中心自由時間型は、学年があがるにつれて、自分の時間使用に関する自己評価が低くなることも確認できた。

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