抄録
目的
教育職員免許法の改正に伴う教職課程コアカリキュラムの実施が目前に迫っている。
教科教育法(家庭科教育)の授業において取り扱う教育内容として想定したのは、家庭科教諭・栄養教諭・養護教諭の連携に係る内容であると同時に家庭科と保健(体育科)の連携に係る内容である「アレルギー(食物アレルギー)」である。現在、国民の3人に1人がなんらかのアレルギー様症状を有しているといわれ、児童・生徒の場合、アレルギー疾患をもつ割合(以前にアレルギーと診断された者を含む)は約半数に上るといわれる1)。
本研究は、アレルギー(食物アレルギー)に関する教育内容を、①「教科内容」と「教職内容」、②「専門職性」と「専門性」の点から構想した授業実践をもとに、教職コアカリキュラムにおける教科教育法(家庭科教育)が扱う教育内容について、「教科内容と教職内容の接続」および教師としての「専門職性」「専門性」に関する認識の形成に向けた検討を行うことを目的とした。
方法
1)「家庭科」と「体育科」「保健体育科」の「保健」領域の学習指導要領、および教科書記述等の現状を把握した。
2)学校生活における教育活動を概観し、家庭科教諭・栄養教諭・養護教諭の連携が可能な場面を抽出した。「アレルギー(食物アレルギー)」に関する教育内容を「教科内容」「教職内容」および「専門職性」「専門性」の点から整理・検討し、教科教育法(「家庭科教育」)の授業実践を行った。
3)教科教育法(「家庭科教育」)の授業実践後の学生のコメントをもとに検討した。
結果
1.「家庭教育」と「学校教育」の連携
「食物アレルギー」の理解と対応を目的に、厚生労働科学研究が発行した『セルフケアナビ 食物アレルギー お家でできること』(2008)では、「配慮の必要な場面」として、「宿泊」「行事」「運動」と並んで教科の活動である「図工」「家庭科」が挙げられている。
2.「教科教育」と「教科外教育」の連携
教育計画や教育課程全体を見渡し、具体的な場面を想定し、教科教育と教科外教育の連携を視野に入れ、教科の独自性や存在意義を意識した教科内容の開発がもとめられる。
3.「教科内容」と「教職内容」の接続
家庭科におけるアレルギー(食物アレルギー)に関する「教科内容」を指導する場合、必然的に教師としての役割や職務に関する「教職内容」を重ね合わせ、実際的な場面を想定した指導がもとめられる。
4.「専門職性」と「専門性」に関する認識の形成
教科としての家庭科の発足とあゆみ、社会の進展に伴う生活の変化と生活課題と家庭科の変遷など、家庭科教育や家庭科教員をめぐる歴史的背景に対する「専門職性」の自覚に関する認識形成と、家庭科を支える知識・技術の「専門性」を高め探究する意識に関する認識形成が必要である。
<参考文献>
1)アレルギー疾患に関する調査研究委員会『アレルギー疾患に関する調査研究報告書』2007年