日本家政学会誌
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戸建住宅の玄関アプローチの実態と居住者の意識
宮本 雅子
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2006 年 57 巻 5 号 p. 323-331

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抄録

本研究では, 玄関アプローチの現状と居住者の意識との関係についてとらえることができた.
危険・負担に感じる点として「段差」と回答している者が多いことから, 段差に対する改造要望が高いという結果となった. また, アプローチが滑りやすいという回答も多くみられた. よって今後, 住宅計画時において玄関アプローチを合わせて計画していくことの必要性が明らかとなった.
新しい住宅地については, 高低差が小さく, アプローチ空間の新しい形ができつつあるようであるが, 既存の住宅や, 既存の住宅団地に今後建て替えられる住宅については不安を残す. 道路から住宅内床面までの高低差については, 現状の土地では将来もほとんど変わらないと考えたほうがよいであろう. そのため, アプローチについての計画時にはその土地にあった方法で対処していく必要がある.
また, 現状では車椅子利用者の外出については介護者が同伴することを前提の改造をされているところが多く, 要介護者が自分の意志で外出または屋外に出ることは考えられていない. 現在, バリアフリーの道づくりがすすめられており, 今後車椅子利用者が外出しやすい環境が整ってくると考えられるが, 介護が必要になってもできるだけ自立した生活を送るためには住宅のアプローチについてもいろいろな選択肢が可能な計画が必要になる.
今後, この研究の成果が玄関アプローチ計画の一助になればと考える.

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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