日本家政学会誌
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ハーブオイルの酸化安定性
植木 彩子大塚 譲今井 悦子
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2006 年 57 巻 6 号 p. 403-410

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抄録
ハーブオイルの酸化について検討することを目的とし, 以下の実験を行った.
オリーブオイルにそれぞれローズマリーとバジルの生葉を添加し, 明所に14日間置いてハーブオイルを調製し, その後暗所に保存した. ハーブ無添加のコントロールオイルおよび2種類のハーブオイルのPOV, ラジカル捕捉活性, 総ポリフェノール量, 総トコフェロール量の経時的変化を測定した.
(1) POVの変化は, 3種類のオイル間で有意な差はなかった. 28日目以降は0日目に比べ有意にPOVが上昇したが, いずれも20meq/kg以下で70日まで可食の範囲であった.
(2) コントロールオイルでは, α-トコフェロール量が減少したもののγ-およびδ-トコフェロール量は減少しておらず, 総ポリフェノール量もラジカル捕捉活性も変化がなかった.
(3) ローズマリーオイルは, α-トコフェロール量が減少したがコントロールオイルよりは減少が小さく, γ-およびδ-トコフェロール量は減少しなかった. 総ポリフェノール量は調製中の14日間で減少しているがその後は変化もなく, ラジカル捕捉活性は変化なかった.
(4) バジルオイルは, α-トコフェロール量の減少が最も少なく, バジルからα-トコフェロールがオイル中に移行したことが推察された. 総ポリフェノール量, ラジカル捕捉活性は調製中の14日間で減少したが, 以後暗所では変化なかった.
(5) バジルオイル中に未知物質が認められ, HPLCリテンションタイムは, α-トコトリエノールと一致した.
(6) ハーブオイルはコントロールオイルと比較して, 抗酸化性の向上は認められなかった. 逆に酸化の促進も認められなかったが, 明所より暗所での調製がよりよいと考えられた.
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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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