日本家政学会誌
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カンボジアの発酵米麺製造工程における成分変化と微生物の特徴
池田 昌代加藤 みゆき長野 宏子澤山 茂
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2010 年 61 巻 2 号 p. 91-99

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抄録
カンボジアにおける発酵米麺の成分と製造工程の微生物の特徴について明らかにすることを目的とした.“浸漬米”,“シトギ”からは,好気性菌,乳酸菌,カビ,酵母が検出された.原料米のタンパク質含量,灰分含量は,ミャンマーやラオスで採取した発酵米麺の原料米と比べて低い値であったが,脂質含量は試料採取地域により異なり,Kandal,Kampong Speu の試料では高く,Battambang, Kampong Som では低い値であった.また,発酵米麺の遊離アミノ酸は,原料米と比べて増加しており,methionine, leucine, pheylalanine, γ-aminobutyric acid の増加が顕著であった.有機酸においては“浸漬米”,“シトギ”,“麺”にした時に,原料米にはみられない乳酸が検出された.さらに,各工程の試料から抽出したたんぱく質の分子量は,製造工程を経るごとに低分子化されており,米を浸漬することで20kDa以上のタンパク質が減少し,シトギ,麺にした時には,米の16kDa付近のバンドが消失し,3.5-6.5kDa付近に,新たなバンドが検出された.これらの結果から,発酵工程に存在する微生物の影響で,発酵米麺の成分が経時的に変化することが示唆された.
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© 2010 一般社団法人 日本家政学会
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