日本口蓋裂学会雑誌
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原著
粘膜下口蓋裂の臨床統計的検討
―第2報:言語成績―
大湊 麗小林 孝憲児玉 泰光小山 貴寛五十嵐 友樹飯田 明彦小野 和宏永田 昌毅髙木 律男
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2016 年 41 巻 3 号 p. 173-180

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抄録

新潟大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科において1982年から2012年の31年間に粘膜下口蓋裂と診断し,治療開始から2年継続して経過観察を行えた80例を対象に,言語成績について検討した。全80例中,Furlow法を中心とした口蓋形成手術および言語治療を行った症例(以下,手術群)は60例であり,手術を施行せず,言語治療のみを行った症例(以下,非手術群)は20例であった。
その結果,以下の知見を得た。
1) 手術群の鼻咽腔閉鎖機能は,60例中38例(63.4%)が良好もしくはごく軽度不全に改善していた。手術時年齢との関連をみると,1歳台で手術を行った症例では良好な経過が得られたが,5歳台以上で手術を行った症例では約半数に不全もしくは軽度不全が残存していた。また,精神発達遅滞との関連をみると,精神発達遅滞がない群ではある群より良好な経過が得られていた。
2) 非手術群の鼻咽腔閉鎖機能は,大きな変化はなく,良好のまま経過していた。

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© 2016 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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