日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
報文
大豆非可食部から抽出した未精製ペルオキシダーゼによる色素退色反応
藤本 明弘藤倉 治菜森田 みゆき
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 70 巻 6 号 p. 339-345

詳細
抄録

 大豆非可食部から抽出した未精製のペルオキシダーゼによる色素退色反応について検討した. 最初に, オレンジI, オレンジII, オレンジGの退色速度定数に及ぼすpHの影響について調べた. その結果, オレンジIの退色速度定数はpH7で最大となった. 一方で, オレンジIIとオレンジGの退色はpH4.0からpH11.0の間で進行しなかった. 未精製大豆由来ペルオキシダーゼ (SPO) の熱特性について, 反応速度に及ぼす熱の影響を検討した結果, 20℃から50℃の間で温度が高くなるにつれ, 未精製SPOを用いたオレンジⅠの退色速度定数は増大した. また, SPOの熱保存安定性を検討した結果, 40℃で未精製SPOを150分間保存しても, オレンジⅠの退色速度定数は減少しなかった. 活性化剤共存下での未精製SPOを用いたオレンジⅠ退色反応について検討した. その結果, p-クマリン酸はオレンジⅠの退色速度を高めるのに最も効果的であり. p-クマリン酸の最適な濃度は5.0×10-5Mであることが分かった. また, その時の過酸化水素の最適濃度は7.5×10-4Mであった.

 最後に, 未精製SPOと過酸化水素, p-クマリン酸を使用してpH7.0, 20℃でナイロン布へのオレンジⅠの移染防止について検討した. その結果, 未精製SPOを用いた場合には, 染色していないナイロン布の色差は過炭酸ナトリウム (pH11.5 20℃) の色差よりも低かった. 従って, 未精製SPOは過炭酸ナトリウムよりも移染防止効果が優れていることが明らかになった.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top