日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P7-019 関節リウマチの骨代謝に対するトシリズマブとアバタセプトの効果
北野 将康北野 幸恵東 幸太壺井 和幸安部 武生荻田 千愛横山 雄一古川 哲也吉川 卓宏田村 誠朗斎藤 篤史西岡 亜紀関口 昌弘東 直人角田 慎一郎松井 聖佐野 統
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 38 巻 4 号 p. 357a

詳細
抄録

  【目的】関節リウマチ(RA)での,トシリズマブ(TCZ),アバタセプト(ABT)による早期の骨代謝是正機序を明らかにする.【方法】症例背景を一致させた女性RA患者44名(ABT,TCZ各22名)のうち12週後のEULAR反応性でのレスポンダー症例36名(ABT:17名,TCZ:19名)を対象とし,治療前と12週後の血清中のNTx,osteocalcin(OC),sRANKL,OPG,DKK-1,TRACP-5bと血漿中のosteopontin(OPN)を測定し比較検討した.【成績】TCZ群:12週後NTxは有意に低下,OCは有意に上昇,sRANKL,sRANKL/OPG,OPN,DKK-1は有意に低下した.ABT群:12週後にNTxは低下傾向,OCは上昇傾向であったが有意差は認めず.またsRANKLとOPGに有意な変化はなかった.一方OPNは有意に低下した.TCZ,ABT両群において12週後のNTxの変化率は治療前のTRACP-5bと負の相関を認めた.薬剤間での各パラメータの変化率の比較では,DKK-1低下がTCZ群で有意であった.【結論】TCZはRANKL,OPN,DKK-1の制御から骨吸収優位のRAの骨代謝を改善していると考えられる.ABTの骨吸収抑制機序としてはOPNの制御のほかに,RANKLを介さないTRACP-5b制御の存在が示唆された.

著者関連情報
© 2015 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top