2019 年 70 巻 9 号 p. 609-616
炊き込み・混ぜご飯を安全に調理し, 喫食者に安心して提供することを目的とし, 添加する副食材として使用頻度の高い「にんじん」と「ごぼう」の細菌汚染状況を調査した. 本調査をとおして大腸菌は全ての検体から分離されなかった. 衛生指標菌の一般生菌数は, にんじんは皮をむく, ごぼうは皮をこそげてからさらに洗うという下処理工程により減少した. また, 加熱 (98℃, 20分間) することによって, にんじんは「洗う-皮有り」試料で, ごぼうは全下処理工程試料で減少した. 下処理工程での大腸菌群数やバチルス属菌数の統計学的な差は認められなかった. エンテロトキシン産生B. cereusが非加熱のごぼうの「洗う-皮有り」検体から検出された. 炊き込み・混ぜご飯に, にんじんやごぼうを用いる時は, にんじんは皮をむく, ごぼうは皮をこそげてから, さらに洗うという行為や加熱するという行為は一般細菌数の軽減策として有効であった. にんじんとごぼうは芽胞形成菌であるB. cereusを付着していることから, 炊き込み・混ぜご飯の危害であると思われた.