2020 年 71 巻 5 号 p. 310-323
本研究では和文化体験と温泉地域の活性化を促すため, 若者・中高年層の男性250名を対象に, 『温泉宿の選択基準 (21項目)』と『温泉浴衣の着装行動 (35項目)』・浴衣の嗜好 (12種) を検討した.
『温泉宿の選択基準』は「施設 (建物・知名度)」, 「接客・雰囲気」, 「露天風呂・景観」, 「観光・交通」の4因子が得られた. 評定平均値が高い項目は「食事のおいしさ」>「宿の雰囲気」>「景観」>「価格」の順でであった. この順位は若年層と中高年層で同じである.
『温泉浴衣の着装行動』は「気分の高揚」, 「外国人・和文化体験」, 「印象評価」, 「癒し」の4因子が得られた. 若年層は「外国人・和文化体験」因子の6項目に評定平均値が高く, 高年層は「癒し」因子の3項目に評定平均値が高かった. また, 若年層は「浴衣を着ると大人っぽく見える」と答えており, 中高年層と有意差がみられた (p<0.001). 男性全体では浴衣の色は落ち着いた色を好んでいた.
男性用の温泉浴衣12種を2次元の軸「現代的-古典的」, 「単色・小柄-多色・大柄」に可視化した. 男性全体には「現代的で多色・大柄」の温泉浴衣が好まれた.