本研究では, 子どもの食事場面での行動に対する保育者の食事指導の実状を明らかにするとともに, それらの食事指導に対する保育者自身の評価や意識を把握することを目的とする. 具体的には, 保育者の自己評価によって, 食事場面における3歳以上の幼児の「困った行動」に対する保育者の有効であった働きかけと, 有効でなかった働きかけを質問紙調査により尋ねた. その結果, 食事場面での子どもの行動に対して, 子どもの状況に合わせて様々な食事指導を行っていることが明らかとなった. 保育者は子どもに達成感・有能感をもたらす働きかけや, 保育所・幼稚園の食事場面の特性を生かした働きかけを有効な食事指導と感じていた. 一方で, 保育者が子どもを一方的に叱ることを有効でないと感じていた. 加えて, 同じ状況の子どもに対して同様の食事指導を行っても有効と捉える保育者と有効でなかったと捉える保育者がみられた. これらのことから, 保育者は子どもの状況に応じて柔軟に食事指導を変えなくてはいけないことが示唆された. さらに, 柔軟な食事指導の実現のために, 保育者が行っている食事指導を子どもの状況とともに「見える化」し, 経験年数の異なる保育者間で共有化する必要性が示唆された.