日本家政学会誌
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裏地の違いがジャケットの動作快適性に及ぼす効果
川端 博子藤田 佳穂吉澤 知佐
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2020 年 71 巻 8 号 p. 514-522

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抄録

 ジャケットの裏地の用い方が, 動作機能面での快適性に及ぼす影響について考察することを目的とし, ジャケットの着用感評価と衣服圧計測を行った. Mサイズの4枚のジャケット (素材と伸び率の異なる裏地をつけた3枚と裏地なし) で, 裏地の効果を比較した. 次に, MとSサイズのジャケットの着用実験より, 動作性を維持する裏地の条件について考察した. 結果は, 以下のとおりである.

(1) 裏地なしジャケットでは衣服圧は最も低いにもかかわらず, 動作のしやすさ, 着脱のしやすさ, 質感のよさで裏地つきのジャケットより評価が低かった.

(2) Mサイズで裏地違いの3枚のジャケットの比較より, 柔らかく平滑なキュプラレギュラー裏地のジャケットでは, 衣服圧の低減とともにすべりの良さ, 動きやすさで高い評価が得られた. ポリエステルストレッチ裏地を用いたジャケットの評価が低かったのは, 伸長性よりも袖すべりのよさが動きやすさに効果を与えるためと考えられる.

(3) キュプラレギュラー裏地のSサイズジャケットとポリエステル裏地のMサイズのジャケットには, 着用感評価と衣服圧に差は見られなかった. ジャケットの動作快適性を維持し, 衣服圧を抑えるには, 伸縮性よりもすべりがよくせん断特性の小さい裏地の使用がふさわしいことが明らかとなった.

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© 2020 一般社団法人 日本家政学会
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