日本家政学会誌
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デキストラン修飾は鶏筋原線維タンパク質に低イオン強度溶液への溶解性向上と抗酸化能の発現をもたらす
西村 公雄佐伯 宏樹
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2021 年 72 巻 6 号 p. 377-386

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抄録

 メイラード反応を用いることで, 低イオン強度溶液に最大限溶解するデキストラン修飾鶏筋原線維タンパク質の調製条件をランダムセントロイド最適化法により検索した. 調製因子として温度, 相対湿度 (RH), 反応時間, デキストラン/鶏筋原線維タンパク質 (Mfs) 重量比とpHを選び, 15の調製条件を得, 各条件にしたがって, 糖化鶏Mfsを調製した. 低イオン強度溶液への溶解度を評価とした. その結果, 温度53℃, RH65%, 反応時間47.93時間, デキストラン/鶏Mfs重量比14.4 (w/w) 及びpH 8.5の時, 低イオン強度溶液への最大溶解度56.4±10.0%を示すことが判明した. この反応中のタンパク質の挙動をSDS-電気泳動法によって調べたところ, ミオシン重鎖の易動度は, 時間と伴に減少した. このことは, デキストランが反応中に鶏Mfsに結合していることを示していた. また, 最適条件下で調製したデキストラン糖化鶏Mfsのヒドロキシラジカル消去能は, 6.3±0.2μmol没食子酸当量/g of proteinを示した. これらのことより, デキストランによる修飾は抗酸化能や低イオン強度溶液への溶解性を鶏Mfsに付与すると考えた.

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© 2021 一般社団法人 日本家政学会
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