本研究では, 余暇時間に行う活動によって高齢者が獲得している能力や価値などを把握することを目的として, アンケート調査を行い, 当該効果の性別, 年齢別, 職業の有無別の違いについて把握した.
高齢期の余暇活動の効果を表す23の項目別に平均点を比較した結果, 最大の効果は, 仲間との交流であることがわかった. また, 性別では女性の方が余暇活動を通して疲れが取れる, 元気になったと思う人が多いことが明らかとなった. 年齢別 (前期高齢者・後期高齢者) では, 後期高齢者の方が他者との交流や活動へのやりがいを実感していた. 一方, 職業の有無別による有意差は認められなかった.
さらに, 余暇活動の効果23項目についての因子分析の結果, 「身体健康因子」, 「交流因子」, 「学び因子」, 「やりがい因子」の4つが抽出され, これらの因子が高齢期における余暇活動の効果に関与していることがわかった. 性別, 年齢別, 職業の有無別に4つの因子得点を比較すると, 「身体健康因子」は女性の方が, 「交流因子」は後期高齢者の方が, 有意に高かった. 「やりがい因子」については, 後期高齢者の方が, また無職の方が有意に高く, 相対的に年齢の高い無職の高齢者ほど, 余暇にやりがいを見出す傾向が強いことが推察された. この結果は, 高齢期においてどのように余暇を過ごせばよいのか, また自己の能力を開発することのできる余暇活動をどのように生活に取り入れればよいのかを再考する際の一助となり得ることを示している.