2023 年 74 巻 11 号 p. 637-647
本稿の目的は, 家庭内にとどまらず学校や社会全体の経済活動を射程とした経済教育を行なった特異な実践として, 1920年代から1930年代における自由学園の高等科経済グループ並びに自由学園消費組合の実践を明らかにすることである. 検討から明らかになったことを2点あげる. 第一に, 自由学園の経済に関わる教育実践として, 高等科経済グループでは, 学園の予算管理に関与していたこと, 著名な経済学者らを講師のもと, 消費組合や金融に関する授業がなされ, 本格的な調査研究を実施していたことが明らかになった. 第二に, 卒業生を主体とした自由学園消費組合の活動は, 高等科経済グループの興味関心をその発端として成立し, 学園内の経済・経営関係に携わりつつ, 女性による消費組合活動を展開したことが明らかになった.