日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
資料
中国における民間食育活動の実態と課題
―河南省新県光彩実験学校における食育プログラム受講者の意識に着目して―
張 暁領鈴木 明子
著者情報
キーワード: 食育, 中国, 食生活, 食習慣, 親子
ジャーナル フリー

2023 年 74 巻 12 号 p. 692-703

詳細
抄録

 本報告は, 中国における民間食育活動の「食育推動計画」という組織の取り組みの事例の一つとして, 河南省新県光彩実験学校の活動を取り上げ, 中国の食育活動の実態を明らかにした. また, 対象の児童及び保護者の食生活の実態と食育後の意識を調査し, 実践活動の課題を捉えることを目的とした. その結果, 「食育推動計画」の活動は, 食生活を総合的に捉えて技能習得や態度形成も含む能力育成を目指す教育的支援であり, 新県光彩実験学校の取り組みは, それらの一展開例として, 確実に実施されていることが確認できた. その活動を通して, 児童の朝食摂取や間食の摂取等の食習慣の改善や, 児童や保護者の食生活への意識の変化がみられ, 児童や保護者への技能習得の支援の必要性や重要性が示唆された. 一方, 児童の継続的な学習意欲を引き出し, 指導成果を上げるために, 地域の伝統的な行事食等, 調理実習の授業内容を考慮すべきであると考えられた. さらに, よい食習慣を形成するには, 間食摂取や食事バランス等の指導内容と調理技能の指導方法の改善や工夫の必要性が課題として捉えられた.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top