2024 年 75 巻 8 号 p. 403-415
本研究では, 目付を可能な限り揃えた3種の36ゲージのベア天竺を編成し, 吸湿性, 編地の肌側面と外側面の凹凸を示すうねり指数Waが異なる4種の肌着試料を作製した. 暑熱環境 (環境Ⅰ), 温熱的中性環境 (環境Ⅱ) において, 若年男性による着用評価と衣服内環境の測定を行った. 着用試験で得た結果と試料特性との関係性を考察し, 夏用肌着に好ましい編地設計の指針として以下にまとめた.
1) 着用評価の結果から, 肌着の着用感は, 肌当たり因子, 温熱因子の2つにまとめられ, 総合評価を高めるためには, 環境Ⅰでは肌当たりと温熱, 環境Ⅱでは肌当たりが寄与することがわかった. また, 環境Ⅰより環境Ⅱの方が肌当たりを弁別しやすくなる傾向が認められた.
2) 夏用肌着の着用快適性には, 肌当たりと熱水分移動を共に考慮する必要があり, 肌当たりには, 試料の凹凸を示す「うねり指数Waを小さくする」, 熱水分移動には, 「通気性を高める」設計が好ましい.