マダイ (学名 : Pagrus major) の廃棄部の保存性を増し, 活用することを目的とし, 水分活性が約0.4となるように調製したマダイ粉末試料の乾燥方法 (熱風乾燥, 凍結乾燥) の違いによる性状, 嗜好性, 保存性およびクリープメータの摺動測定による粉末状食品の硬さの評価方法について検討した. 性状では, 凍結乾燥試料の方が乾燥前試料の色味に近く, 表面に凹凸が多く, 体積は約1.5倍大きかった. 摺動測定の結果, 凍結乾燥試料は軟らかいと想定され, 官能評価においても, 熱風乾燥試料より凍結乾燥試料は軟らかく, 残留感の少ない評価となったため, クリープメータを用いた摺動測定は粉末試料の評価にも適している可能性が示された. 嗜好性では, 官能評価の結果, 熱風乾燥試料, 凍結乾燥試料ともに見た目, 香り, 風味, 総合的な好ましさにおいて, 好まれた. 保存性では, 乾燥方法による脂質酸化の程度に差はなく, 微生物の増殖も認められなかった. したがって, マダイ粉末試料を調製するには, マダイの身の色を活かし, 軟らかい粉末が望ましい場合は凍結乾燥を, 香ばしく硬い粉末が望ましい場合は熱風乾燥をというように, 用途によって適した乾燥方法を選択することが可能であると推察された.