日本家政学会誌
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保育服の現状と保育士服装の選択基準および機能要件に関する調査研究
武永 佳奈岩﨑 之勇
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キーワード: 保育服, 選択基準, 機能要件
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2025 年 76 巻 7 号 p. 332-340

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抄録

 本研究では, 保育士が職場で着用する制服 (以下, 保育服) に着目する. 特定対象地域 (以下, 当該地域) において, 保育服の現状と課題を明らかにすることと, その選択基準および理想的な保育服の機能要件を明らかにすることが本研究の目的である.

 保育服は, 良好な労働環境の改善や職場の統一感の創出等の観点から導入に意味があるが, 本研究でアンケート調査を実施した保育所はいずれも日常的に着用する制服は有しなかった.

 制服導入については, 否定派が優勢であったが, 大多数はどちらでもよいという意見であり, 否定的理由の大半を占めるのは「身体, 体調にあった好きな服を着たい」であった.

 また, 保育服には, 保育環境の希薄化や保育士の自主性や好み, 保育計画などへ配慮し, 制服であってもある程度のバリエーションから選択できることが必須となる.

 当該地域の保育士服装として, 最も頻繁に自費購入されているアイテムは, 長ズボン, エプロン, Tシャツ, スニーカー, トレーナーであり, その選択基準のベスト3は, 動きやすさ, 着心地のよさ, そして洗濯が簡易であり, これに加え, 吸水性, 少数派ではあるが園児や保護者などの他者目線も重視されている.

 理想的な保育服のアイテムは, 保育士が選択できるバリエーションを持たせることを前提に, Tシャツ, トレーナー, エプロンの上半身を中心に着用するものであり, 上記した選択基準に沿った特性が求められる.

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© 2025 一般社団法人 日本家政学会
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