家政学雑誌
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農家の夫と妻の疲労について
鹿股 寿美江
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1961 年 12 巻 2 号 p. 175-178

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抄録

1. 自覚的疲労症状においては、夫、妻ともに、身体的症状の訴数頻度が、精神的、神経感覚的症状よりも多い。
2. 平均ドナジオ値においては、農閑期には、夫の方が妻よりも疲労がたかい結果があらわれた。作業時間別にみると、1日の作業時間が7hrをこえると疲労の上昇度合がたかまり、強度の疲労(ドナジオ値の前後差値が10以上)を示す場合が多い。作業種類別にみると、農薬撒布作業の疲労がたかいことが目立つ。
3.耕作面積別にみると、平均ドナジオ値においては1h以上の階層の方が、1h未満の階層より疲労がたかい。
4. 勤労収入別にみると、平均ドナジオ値においては現金勤労収入が、年収25万円以上の階層の方が、25万円未満の階層より疲労がたかい。
5. 家族構成別に考察すると、平均ドナジオ値においては、複合家族の方が、単一家族より疲労がたかい。プリッカー値においては、複合家族の妻の方が、単一家族の妻より疲労がたかい結果を示した。
以上、指摘した5つの中には、農家の生活合理化の上で考慮しなければならない問題がひそんでいる。

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