1. 板状ゼラチンよりも粉末ゼラチンの方が吸水量も多く吸水速度も早いのは粉末ゼラチンの方が表面積が大きいからである。ゼラチンは板状、粉末とも浸漬時間の長いほど膨潤度は大となるが浸漬時間による吸水量の上昇勾配には一定の限界がある。加熱時間、硬度等の三者を綜合すれば粉末ゼラチンでは5分、板状ゼラチンを前記の如く細切した場合では20分位浸漬しておくのがよいと考える。硬度は板状ゼラチンは同じ浸漬時間でも相異があり粉末ゼラチンは殆んど同じ値を示すのは板状ゼラチンは粉末ゼラチンに比して不純物が沢山ふくまれているのであろうと思はれる。冷蔵庫内放冷時間の相異による硬度の実験では固まりかけたとき、大体固ったとき、固ったものが更に冷やさたときの三段階の硬度増加過程をなす。故に第二段階すなわち2時間位冷すのがよいと考えられ、それより早く食べるときまたはおそく食べるときはゼラチン濃度を加減して供卓時硬度を24 200mg/cm
3前後にすればよいと考える。高い室温中にゼリーを放置すれば崩解するがこれはゼラチン濃度が高いほど崩れかたは少くなる。またゼラチン濃度4%、24時間冷蔵庫内放冷、硬度63 200mg/cm
3のものでもゼラチン濃度5%2時間放冷、硬度55 200mg/cm
3のものよりも早く崩解する。これによリゼリーの結含力は温度の影響よりもゼラチン濃度の影響の方が大きいように思われる。
2. 砂糖の影響は10%添加のときは硬度及弾力を少し減少するが20%以上添加すれば次第に硬度も弾力も増加する。これは砂糖液の粘性の増加によるものと考える、また崩解力も減少するのは同様の理由によるものと考える。
3. レモン汁の影響では硬度の減少することは酸の影響で、レモン汁増加に従いpHが小となるために硬度は減少する。水の代りに牛乳を用いれば凝固点は高くなり固まり易くなるが硬度は低くなる。これは牛乳中に含有される種々の成分の影響によるものと思われる。
3. 二色ゼリーでは下層ゼリーの表面温度が低いほどそれにそそぎ込む上層ゼリーの温度範囲が広いので下層温度低いほど作り易い。また普通ゼリーよりもレモンゼリーの方が同じ下層温度でもそそぎこむゼリーの最低温度は低く、最高温度はより多く低くなっているので接合温度の範囲は狭い。しかし粘着力はレモンゼリーの方が多く、ためにレモンゼリーは低い温度のもの同志でもきれいに接合する。
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