家政学雑誌
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甘味固形食物のかたさと甘さの関係
松元 文子風間 文子
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1965 年 16 巻 6 号 p. 338-341

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抄録
1. 寒天濃度と砂糖濃度を組み合わせて25種類の寒天ゼリーを作り、それぞれのかたさを測定し、味覚テストを行なった。かたさを3段階に大別し、それに味覚テストの結果を当てはめると最もやわらかいグループに属するゼリーでは30%の砂糖量、次のグループが40%、最もかたいグループに属するゼリーでは60%の砂糖量を嗜好人数%のピークとして、それぞれ特微のある数値を以て、砂糖濃度に対する嗜好度を示し、はじめに予期したように寒天ゼリーの嗜好の上でかたさと甘さとの間に相関々係のあることがわかった。
淡雪かんではやわらかい場合は30%の砂糖濃度を、かたい場合では50%の砂糖濃度を好みのピークとして、それぞれ特有の数値を示し、寒天ゼリーの場合と同じような結論を得た。これらのことから、この種の調理では予想されるかたさに調和する砂糖の使用量を決めたり、また使用された砂糖量から製品の煮つめ加減を算出することが可能である。試みに日常単食される主な甘味食物を砂糖含量(%)の順に列挙してみると、氷砂糖(100)、金玉糖(60~70)、ねり羊かん(50~60)、ねり切り(30~40)、アイスクリーム(12~18)で、この順序はこれらの食物のかたさの順序でもある。 ( ) 数字はこれらの有名メーカーの処方や著者らが教室で扱っている材料配合から算出したものである。
2.寒天ゼリーでは甘さの如何にかかわらず1%の寒天濃度が好まれ、淡雪かんでは1.5%の寒天濃度が好まれる。この結果は山崎の報告とほとんど一致している。
3.市販のねり羊かん、水羊かんのかたさと甘さの関係も、寒天ゼリーの場合と同じ傾向であった。本実験における測定の範囲内ではかなり近似している性格をもつ市販品4種の価格の間には相当の開きがあった。
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