1. 広い室内において、軸中心の高さを1.5mにした場合の風速分布は、廻転速度に関係なく、扇風機の羽根周辺から吸込まれた空気の流れは羽根直前においてしぼられ、約30cm前方より次第にひろがって行く。羽根直前では、中心点より上下左右に10cm離れた部分が最大風速を示しているが、遠距離になるにつれて中心部の風速が大になり、全体的に風速は弱まる。このことは、軸中心線を基線として、上下左右ほぼ対称である。
2. 扇風機の軸中心点を通る縦軸と横軸の線上で、中心点より上下左右に10cmの間隔で半径60cmまでの測定位置毎に、風速の距離による変化をみると、羽根前方3mの距離までは風速値の変動が顕著であり、また、各測定位置による風速の差が大であるが、3mより遠距離では各測定位置の風速とも、1m/sec前後となり、しかも距離による変動は見られない。
羽根前方10cm~5mの距離までの各垂直面平均風速は、中心点より10cm離れた位置の風速が最も強く、次が中心点の位置であり、それから次第に中心点を離れた外側程、風速は弱くなっている。
3. 廻転速度3段階の風速の差は、羽根前方1.0mの距離までは顕著にみられるが、遠距離になるにつれて、三者の差は縮まる。
4. 軸中心の高さが53cmの場合には、1.5mの場合と異なり、横軸において、扇風機の左側より右側の方向への風の流れが明確にみられ、6畳間の風速分布と同様の傾向を示す。ただし、最大風速を示す位置は、6畳間では中心点であるのに対し、広い室では、中心点より10cm離れた位置である。
5. 軸中心の高さを53cmとし、広い室において、扇風機にScreenを近づけ、6畳間の側壁と同条件にして風速を測定した場合には、Screenのない場合よりも、横軸における右側への風の流れは、より顕著になり、6畳間とほぼ同様になる。ただし、最大風速を示す位置は、中心点より10cm離れた部分で6畳問の場合とは異なる。
6. 広い室において、軸中心の高さを53cmにした場合と、6畳間の風速分布を比較すると、広い室の場合は一般に風速が弱い。しかしScreenを近づけて測定した場合には、横軸の風速が強くなり、特に右側の風速は6畳間の右側より竜強い。
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