家政学雑誌
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アントシアン系色素に関する研究 (第1報)
茄子のアントシアニンの安定性について
守 康則粟屋 節子大倉 和子
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1966 年 17 巻 3 号 p. 137-141

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抄録
1. 茄子アントシアン色素の可視部における吸収帯では、pH22において520mμに顕著なλmaxをもつ吸収スペクトルを得、pH5.0においては、僅かに540mμにλmaxをみとめたが、pH5.0、pH7.0、pH8.0においては特有の吸収スペクトルはえられなかった。
2. 茄子アントシアンは室温(30℃)に放置のとき、アルカリ性域においては不安定で比較的初期の段階で著しい変色がみられるが、酸性域においては比較的安定で呈色の変化はみられない。
3. 茄子アントシアンは加熱に対しては不安定でpH7.0~8.0のアルカリ性域、pH5.0~2.2の酸性域においてかなりの変色または腿色がみられる。
4. アントシアンは光線に対して不安定で、殊に紫外線は顕著なアントシアン分解能をもち、強酸性域においても明らかなアントシアンの分解腿色がみとめられる。
5. アントシアンは酸素に対しては比較的安定で、pH70~8.0のアルカリ性域において僅かに変色がみられるが、pH5.0~2.0の酸性域においては変色はみとめられない。
6. アントシアンに対してAl3+、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Na+はその色素を安定化するが、Cu2+はアントシアンを分解褪色する。
7. アントシアンに対して食塩、砂糖、ハイミー、グルタミン酸ソーダは、その呈色に対してほとんど影響をおよぼさない。
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