抄録
1) 名古屋市を、住宅、商工業、商業、工業地域にわけ各々代表区を選び、婚姻届によって結婚式直前の夫と妻の職業を調査し、その中、夫と妻が同業のものをさがし、その同業の率を求めた結果、職業的な一つの通婚圏の実態が把握された。
2) 職業中分類の教員は、調査の初年(昭和25年)頃より夫と妻の同業率が高く、他の職業と異なり、その後の年次的変化はみられず、その約25~30%は同業であった。
3) 一般事務徒事者は、中分類における同業の率は、年と共に高くなり、最近では30~35%位、妻も一般事務徒事者である。
4) 技能工のうち、小分類、中分類内の同業の多い職種は、女子でも就業可能な紡績、織物、陶磁器、飲食料品製造徒事者などで、最近ではこの件数もかなり増えている。
5) サービス職業従事者の中では理容師問、料理人と給仕人との婚姻のような職場を同じくする者の間の同業が多い。
6) 職業小分類、中分類内の同業者の婚姻には、いわゆる職場結婚と推察される標本も少なくなく、それにより結婚形態の一つの近代化が認められます。