家政学雑誌
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調理における漬物の挙動
食品のレオロジーに関する研究 (第5報)
加藤 寿美子
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1966 年 17 巻 5 号 p. 273-278

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抄録
たくあんの風乾、漬込み等の工程について流動学的考察を与え、よい漬方の要因を求めようとした。
1. 大根重量は風乾経過日数に従って指数函数的に減少し、この乾燥度はたくあんのTextureに著しい影響を与えた。
2. 特有の歯ぎれ、歯ごたえ等は破断荷重、圧縮歪、弾力性、塑弾性挙動等のレオロジー定数によりある程度示すことが可能で、これらは浸漬の際の脱水及び膨潤度により影響を受ける。
3. たくあんはおおむね6要素模型として挙動し、風乾15日、浸漬14~49日、2.18×103dyne/cm2の圧縮荷重に対するその挙動はおよそ歪5.0~19.0%、粘度0.7~5.0×105poise、遅延時間23~50sec.を示した。
4. 漬け込み経過およそ35日において歪、ニュートン流体の極大、弾力性、比重の極小を認め、これらを経て後大根は漬かり始めた。これは主として細胞の原形質分離を境とする水分の授受によることが顕微鏡写真によって認められた。
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