家政学雑誌
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インスタントラーメンの貯蔵中の変化
木原 芳次郎井上 タツ
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1967 年 18 巻 6 号 p. 383-387

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抄録

i) トコフェロールミックスは、天然抗酸化剤で、衛生的にすぐれたものと思考される。市販合成抗酸化剤との抗酸化性をラードにつき比較し、α-トコフェロールよりすぐれていたがP.G.>B.H.T.>B.H.A.>トコフェロールミックスの順で劣っていた。但し紫外線に対して、トコフェロール類はすぐれた抗酸化性をしめした。
ii) トコフェロールミックスのインスタントラーメンに対する抗酸化性は、α-トコフェロールよりすぐれ、最適添加量は0.1%B.H.A.との併用は更にすぐれていた。
iii) トコフェロールミックスのインスタントラーメンへの間接添加法は、抗酸化性がみとめられずB.H.A.単独、又はB.H.A.とトコフェロールミックスの併用はすぐれていた。
iv) 香辛料は抗酸化性がみとめられたが、風味との関係、添加量、種類等につき、くわしい研究が必要と考えている。
v) ラーメン調製に使用されている食塩は、酸化を促進しM.S.G.はやや抑制の傾向を示した。
vi) 市販インスタントラーメンにつきA、B2社の試料を試験した。各社により保存性に差異がみられた。共通したことは、調製した日により安定性にかなりの差異がみられ、調製直後にT.B.A.、P.V.の値の低いものの方が、安定性が大であった。揚油の性状とラーメンの安定性との関係、油の交換補充法の相違によるラーメンの安定性については、今後研究したいと思っている。

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