家政学雑誌
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食品中のカルシウムについて (第8報)
果菜類およびいも類のカルシウム含量
飯盛 キヨ
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1968 年 19 巻 6 号 p. 402-405

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抄録
家庭でよく消費されている果菜類やいも類およびこんにゃくについて。Ca含量を定量し、なお食品の部位や熟度の相違によるCa含量の変化を測定し、更に胃のモデル実験によってCaの利用効率を調べた。
(1) 試料うり類の総Caは約20~30mg%で、トマト、ピーマンなどでは、実験値が標準分析値に比べて、50%以上も高かった。
さつまいもは、皮部と肉部では大差があり、皮部には、約100~140mg %、肉質部には約25~35mg %含まれていた。
このような結果より、いもの皮利用にも注目すべきである。
(2) 同一管理、同一品種のさつまいもの肉質部では、熟度とCa含量との間には何らの関係も認められなかった。
但し皮部では成熟と共にCa含量は減少した。
(3) こんにゃく中の総Ca量は約100mg%であったが、加工過程において混入する石灰剤よりのCaが殆どを占めると考えられる。
(4) こんにゃく中の水溶性Caは約30mg%で、水漬4日目で、その約30%が失われた。
(5) 胃のモデル実験では、こんにゃく中のCaは、溶出率が高く、総Caの91~98%を示した。Ca給源としては期待しうるであろう。
こんにゃくマンナンゲルとCaの結合は弱く、水や熱水などでも容易に溶出するので、調理操作に留意して、Caをより効果的に利用するよう工夫すべきである。
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