家政学雑誌
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共稼ぎ主婦の生活構造
地方小都市における労務系主婦の場合 (第2報)
岡村 益壁谷沢 万里子
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1973 年 24 巻 3 号 p. 223-227

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抄録

1) 調査対象者の年齢は若く子女養育期の者が多い.夫はブルーカラーの率が高いがこの場合でも親が農業従事の例が多い.このようにブルーカラー労働者でありながら農家的性格をもつことは, 離農・脱農の進みつつある複雑な現況を示している.人並に暮らすために働きに出たがその給料が物価上昇や消費の増大に追いつけぬ悩みや, 家に帰れば農業も手伝わなければならないなど, 家庭内の問題を多く抱えている.
2) 勤めに出ている理由にもみられたように姑の家事担当度が高い.家計, 交際など家庭の役割をみても家庭経営の主体がまだかなり親にあることが示されている.
3) 忙しい家族周期段階のため自由時間の少ない者もかなりみられ, 「子どもとの接触」時間を最も欲している.
4) 前報にくらべれば問題意識はやや高い.これは家族周期との関連で家庭内での問題が多いこともあろうが学歴が高いことと考え合わされる.それにもかかわらず共稼ぎに伴う家事処理対策は前報と同程度で, 必要を感じてもあまり実行されていないのは嫁という立場も影響していよう.近代産業業種においてもこのような前近代的な労働力に支えられているところに地方の特色がみられる.
第3報では同一業種間の比較を試みる予定である.

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