家政学雑誌
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加熱調理における醤油の食品のテクスチャーに及ぼす影響 (第2報)
中谷 圭子松元 文子桜井 芳人
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1974 年 25 巻 3 号 p. 201-206

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抄録

前報につづいて醤油が加熱調理食品をかたくする原因を追求するため, 大豆を用いて, 醤油中に含まれる化学成分の影響を調べた.その結果を要約すると,
1) 醤油に含まれる有機酸16種はいずれも, 加熱処理大豆をかたくし, その程度は酸の種類によってことなる.また, アミノ酸の中では酸性アミノ酸のグルタミン酸とアスパラギン酸が大豆をかたくした.一価のイオンの食塩と塩化カリウムは水処理のものよりやわらかく, カルシウム, マグネシウム, 三価の鉄の各塩化物溶液は逆の結果となった.
2) 上記のアミノ酸および有機酸0.1モル濃度を含む5g/dl食塩濃度の醤油水で大豆を加熱処理すると, 同醤油水のみで処理した大豆のかたさの約1.5~2倍のかたさを示した.また, 食塩濃度5g/dlの醤油液あるいは同食塩濃度の緩衝液をベースにして, 乳酸, コハク酸および酢酸を溶かした各溶液で加熱処理した大豆は, 前三者の水溶液の場合より, やわらかく, 酸の添加量による影響は小さかった.

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