抄録
ほろほろ鳥卵および鶏卵について, 約2週間夏季室温貯蔵 (28℃±2℃), 冷蔵庫貯蔵 (4℃~8℃) を行い, 貯蔵期間中の重量減, H.U., 卵黄係数, pH等について測定を行い貯蔵中の両卵の品質変化について検討を行った.結果は次の通りである.
1) ほろほろ鳥卵, 鶏卵とも室温貯蔵において重量減は顕著であった.特に両卵とも貯蔵初期に変化が著しくおこり, 以後比較的ゆるやかであった.冷蔵では重量減の変化はきわめてゆるやかであった。両卵を比べると, ほろほろ鳥卵の重量減%は鶏卵より小であった.
2) 品質判定法として用いられているH.U., 卵黄係数についてみると, 重量減と同様, 室温貯蔵では貯蔵初期において, H.U.の低下, 卵黄係数の減少が顕著に認められた.また重量減%とH.U.および卵黄係数との間には有意の負の相関が存在した.室温貯蔵では, ほろほろ鳥卵に比べて鶏卵の品質低下は大きいと考えられる.
3) 卵白および卵黄のpHについてみると, 室温貯蔵では, 貯蔵初期においてほろほろ鳥卵, 鶏卵ともpHの上昇が認められた.卵白のpHは10日以後, ごく小さいが減少がみられた.この点については今後の検討が必要である.
4) ほろほろ鳥卵の殻は, 鶏卵に比べて厚い.殻の厚いほろほろ鳥の重量減%は鶏卵に比べて小さい.このことから殻の厚さと重量減%との間に相関があると考えられる.鶏卵に比べて重量減%の小さいほろほろ鳥卵の品質低下は, 鶏卵よりゆるやかであり, これは食用卵としての価値を高めるものである.