抄録
非接触計測により頸部表面の展開図を近似的に得ることを目的として, 成人男女各2体の石膏標本を投影型モアレカメラで撮影した. これらの写真上で直交3座標を読みとり, 頸部の3面図を得た. この3面図から3角形法により近似展開図を作成し, 以下の結果を得た.
1) モアレ法により, 人体頸部の形と大きさを容易に把握することのできる3面図を得た.
2) 約40個の小平面で頸部表面を近似させることにより, 被験者に接することなく, 十分な再現性をもった頸部展開図を得ることができた.
3) 頸部展開図は鎌状を呈し, 鎖骨に接する前面の彎曲形状, および肩陵部に接する側面の彎曲形状に著しい個人差がみられた.
4) 計測時における生体の経時変化を消去する可能性を得, 本方法の多数生体例への応用に関する糸口をつかむことができた.