家政学雑誌
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ポリエステル編地の縫目損傷について
宮内 秀和水代 キヨミ小笠原 尭子高山 朋子
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1980 年 31 巻 6 号 p. 426-431

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抄録

1) 分散染料を用いた特殊染色法により縫目部分の染着状態から縫製時に受けた縫目部分の最高熱履歴温度 (縫目温度) を推定することができた.
2) 縫目部分の染着性から推定される縫目の温度は赤外線測定による針温度の測定値よりも30~50℃高温であった.
3) 縫糸に可溶性ビニロン糸を使うことにより, 縫目にむりな力を加えることなく簡単に糸を除去することができ, 縫い目の地糸切れの発現程度を簡明に評価することができた.
4) 縫目部分の染着状態から地糸切れを機械的な損傷と熱的な損傷とに容易に分類することができた.
5) 縫製時の針温度の測定値が布地の融点より低いにもかかわらず, 布地の溶融による地糸切れが確認された. したがって, 針温度の測定結果から直接溶融地糸切れの発現する縫製条件を見いだすことは困難であった.
6) 溶融地糸切れの発生率は染色法から求めた縫目温度と相関があることから, 染色法により溶融地糸切れの発現する縫製条件を簡単に評価することが可能となった.

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